飲酒禁止。

彼が酔ったら。きりやま ページ48

〆．



酔ったら眠くなるのは本当。



うとうとしながら、手を出してくれるのをずっと期待してた。



いざその時が来たら怖くなっちゃったんだけどね。



でも今は怖くないよ。



照史さん、優しいから。



週末の楽しみみたいになってるの。



飲み会あって、照史さんの家で二次会して、そのまま………ふふ。



だけど、酔った照史さんって見たことないんだよね。



照史さんが酔うのを見る前に、眠っちゃったり行為になったり。



……だから、彼のこんな姿、初めて。



「淳太くぅ〜ん………へへへ」



「私、中間さんじゃないよ」



照史さんの同期だという中間さん。



まさか男の人に間違えられた挙句、その状態で甘えてくるとか。



「中間さんて何者…！？」



恋のライバルなんだけど！！



「淳太くん、聞いてやぁ。Aがな？んへへ、可愛ええんよ〜」



「…………っ、」



デレデレな顔で、惚気話。



ねえ、もう。



部屋の鏡に映る自分の顔は驚くほど赤い。



「神ちゃんおるやんかぁ、淳太くんの後輩の……あいつと仲良う喋っとんの見てさぁ………あー、女々しいわぁ俺」



ただお喋りしてただけなのに、妬いてたんだ。



「ふふ、照史さん、大好き」



「俺も〜……好きやで、淳太くぅん…」



「！？！？」



照史さんの口からこぼれるのは、一貫して「淳太くん」。



…………ああもう！！



「照史さん酷いよー！！私より淳太くんなの！？噂の唇おばけ！？ねーえー！！」



なんで男に妬かなきゃダメなの！？



照史さんのバカバカ！！



「もう知らない！」



照史さんをそのままにし、勝手にベッドに入る。



「………酔ってるの可愛いけど…！私に甘えてよ…」



夜の方もちょっと期待してただけに、不満が募る。



ふん、とふて寝してやった。



……………それから少しして、ガサゴソという音とともに温もりに包まれた。



「ごめんな、A」



照史さん……？



「淳太くんにまで妬くとか、どんだけ可愛ええんよ」



ぎゅ、って。



「………あほ」



「え、起きてる？」



「知らない」



「起きてるやん！」



照史さんがなんだか嬉しそうに笑った理由は、



私を求める照史さんの唇が教えてくれた。



〆．

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