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帰り道にて ページ1

駅から出ると、冷たい風が吹き荒び、白羽の体を襲う。
日ももうとうに沈み、辺りは暗闇と街灯の灯りのみで照らされている、
冬の夜の寒さに白羽が思わず身震いすると、汐音が心配そうに顔を覗き込んできた。

「寒いの?」
「……うん、まあ。少しだけ」

白羽が心配させまいと困ったような笑みを見せると、汐音は自身の手を差し出してきてこう言った。

「……手」
「え?」
「手、寒いんじゃないの」

そう言って白羽の手を取る。

「別れるまでくらい……繋いでても、いいでしょ」

そう言うと汐音は恥ずかしくなったのか、微かに頬を染めて顔を逸らしてしまう。その姿が、とても愛おしく感じてしまって。
白羽は嬉しそうに差し出された手を取り、そっと握り返した。

「何で手袋取ってるの」
「もったいなくて」
「何それ」

白羽が手を握ると、汐音が優しくそれに応えてくれる。
それでもまだ足りなくて、指を絡ませ、擦り寄せてみたりして。
そうしているうちに楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、いつも別れている交差点まで来てしまった。
名残惜しげに白羽は手を緩めるが、汐音は離そうとしない。

「汐音くん……?」
「……もう暗いし、家まで送る」

そう言うと汐音はまたぎゅうと手を握る。
白羽にとって、その言葉と行為に、どれだけの意味があるだろうか。
わずかな時間かもしれない。すぐに家が見えてくるかもしれない。
それでも、白羽は。
もう一度手を握り、その感触を確かめる。
その手はとても優しくて。壊さないように大事に包んでくれていて。
歩幅を合わせてくれている彼の優しさが、白羽にとっては嬉しかった。

***→



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作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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Dream,Dimention.(プロフ) - 澪さん» コメントありがとうございます。こちらこそご意見、アドバイス頂きまして、ありがとうございます。これからも精進して参りますので、よろしくお願い致します……! (2018年10月9日 16時) (レス) id: 5b0b514a82 (このIDを非表示/違反報告)
- お久しぶりです、以前よりとても読みやすくなりました 色々言って申し訳ありませんでした これからも引き続き頑張って下さい! (2018年10月9日 8時) (レス) id: 0e53a47e35 (このIDを非表示/違反報告)
Dream,Dimention.(プロフ) - 綾波美舞さん» コメントありがとうございます。返信遅れて申し訳ありません。キュンキュンして頂けたなら本望です。これからもよろしくお願いいたします……! (2018年10月6日 22時) (レス) id: 4a2eaa1624 (このIDを非表示/違反報告)
綾波美舞(プロフ) - めっちゃキュンキュンする〜〜〜//////萌えます、彼氏欲しい‥‥‥ (2018年8月22日 13時) (レス) id: ebfeae08b9 (このIDを非表示/違反報告)
- あんな長々としたコメ書いてしまい申し訳ありません、、 めちゃきゅんきゅんします、更新頑張ってください! (2018年8月18日 8時) (レス) id: e5e04b052a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:汐音 白羽 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/homepage01/  
作成日時:2018年5月21日 23時

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