従兄襲来04 ページ8
アーノルドの進言に興味を引かれたらしく、お祖父様の頃からある書斎に行く事にしたスティーブ。
良かった、これでレッスンを邪魔されずに済む。
(…なんて思ってしまう私は、大人げないのかしら)
いくらスティーブが気に食わないにしろ、此処まで敵意を剥き出しにしていて良いのかとも思えてくる。
「お嬢様、ダンスの先生がお見えになりました」
アンリに呼ばれ付いていくと、先生と話しているスティーブの姿があるではないか。
アンリの笑顔が固まり、アーノルドは申し訳なさそうな顔を
「アリス、先生の許可を貰ったから、俺も行く事にしたよ。それにしても、先生がアリスのダンスの先生だったとは思いもしませんでした」
話の発端から推測すると、この先生はスティーブにも教えていたとわかる。
「アリス様のお父様が、スティーブ様のお父様の弟であられるとは伺っておりましたが。まさが、
「先生に教えて貰う期間が短かったからですね。ほら、アリス。行くぞ」
(勝手に話を進めてるんじゃないわよ!私の意見は無視ですか、そうですか)
部屋に着くと、先生は閃いたと言わんばかりの顔でとんでもない事を言ってきた。
「ワルツを一曲、スティーブ様と踊ってみては如何でしょう?私と踊るのも良いですが、折角ですので」
(要らんお世話だわ、先生!)
内心荒ぶってきた私は、気持ちを落ち着けつつやんわりと返す。
「先生の仰っていらっしゃる事もわかりますが、なにぶん始めたばかりで。人と踊れるほど上達しておりません。兄様と踊るのはまたの機会にでも」
先生以外と踊るのは構わない。
うん、全然良いよ。
私もそれなりに踊れるようにはなったからね、練習した甲斐があったから。
はっきりと踊りたくないとは言わないで、遠回しに断ってみる。
先生はそうですか…と渋々納得してくれた。
対するスティーブは少し笑い、私を見て肩を竦めた。
「上達する為に、俺と踊るんだよ。わかってないな、アリスは」
(わかるわよ。わかってるからこそ、遠回しに断ってるのよ!そっちこそわかってないじゃない!)
先生はスティーブの肩を持ち、最終的には私の方が折れると言う事態に。
…えええ、このままスティーブと踊るなんて。
内心でずっと毒を吐き続ける私を知ってか知らずでか。
ニコニコと喰えない笑顔で私を見つめるスティーブ。
…殴り飛ばしたいわ。
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颯貴@きっちょー(プロフ) - とっても面白かったです!するする読めちゃいました笑笑 少し気になったのですが、行間がほんの少し狭いように感じたのでもう少し行間をとったほうが読みやすいのかな?と思います。個人差あると思うのであくまで参考程度にですが… (2021年12月13日 18時) (レス) id: 5b8feef754 (このIDを非表示/違反報告)
葦原 さくら(プロフ) - printemps(プランタン)さん» 初めまして、コメントありがとうございます。“良性発作性頭位目眩症”と言うのが、作者がなっている目眩です。BPPVと検索して頂くと詳しくわかりますよ (2020年7月5日 23時) (レス) id: 41f7d823e5 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - 目眩症…? (2020年7月5日 10時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
葦原 さくら(プロフ) - ミントさん» 初めまして、コメント有難うございます!!全部読ませて頂きました。此処まで言って頂けるのは貴重なので助かります。これから少しずつ直していきます。読み返してみないとわからない物ですね。応援も有難うございます。これからもこの作品を宜しくお願い致します (2020年6月26日 20時) (レス) id: 41f7d823e5 (このIDを非表示/違反報告)
ミント - というか主人公って正統派ヒロインポジなのでは…(笑)?
王妃様も前世の記憶持ちなのかが今は気になってます。
続きがとても気になります。応援してますね。
連投・長文コメントで申し訳ありません。 (2020年6月26日 19時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葦原 さくら | 作成日時:2019年8月25日 20時