私の銃。 ページ21
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廃病院に辿り着いた時、中には既に包帯男と白髪少年がいた。時間指定はしていなかったはずなのに私と同じタイミングで来るなんて。
割れた窓から射す太陽の光が、妙に眩しく感じる。私は銃口を二人に向け、少しだけ距離を詰める。
「たった二人だけですか。それに私が殺したいほど憎んでいるあの女はいない」
「あまりに大勢で来ても君を追い詰めるだけだと思ってね。それに君は異能を持たないただの女の子。敦くん一人でも事足りるくらいさ」
私は本当に舐められている。ただ彼の云い分も正しかった。銃の扱いだけでは彼らに敵わない。それは紛れもない事実だ。だから余計に悔しい。
「泉鏡花を呼んでください」
私は自分の後頭部に銃口を押しつける。
これに関しては予想外だったのか包帯男は少しだけ目を見開いた。しかしすぐに笑みに戻る。私が疑問を抱く前に私の身体は冷たいアスファルトに押しつけられた。その人物を見て、笑みが広がる。
「あなたをっ……待ってた」
泉鏡花
35人殺しは表情を変えず、私の握っていた銃を投げ飛ばした。
「ずっとずぅっと待ってた！ねぇ、パパとママを殺した時、どんな気分だった？」
「……」
「私を警察に突き出す？良いよ、別に。人殺しは裁かれて当然ですもんね。一緒に自首して法に裁かれましょうっ？35人殺しと6人殺し！きっとどちらも死罪ですよ！いくら罪を洗浄しても35人殺した事実は変わりませんよね？」
35人殺しは無表情のまま云った。
「今の私は探偵社員」
「……は？」
もし銃を握っていれば、私は間違いなく35人殺しを撃ち殺していただろう。
自分は探偵社員だと云いきった35人殺しの瞳は何故か凄く輝いていた。私はどうしようもなく濁って闇に染まったのに何故この女はこんなにも輝いているのだろう？自分の罪を忘れ、完全に光に目が眩んでいる。
「死んでくださいよ……ねぇ。死んで罪を償ええッ！！」
私は35人殺しの手を振り払い、自分でも意味がわかないことを喚き散らした。
「それ以上動かないで」
35人殺しは着物から短刀を出すと、私の腕に当てた。暴れたら斬る、ということらしい。あぁ……なァんだ。本質は何も変わってないじゃないか。その事実に気づき、笑った。大爆笑だ。
「わたしも、殺すの？」
パパとママを殺した時のように。
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