モンステラを捧ぐ２ ページ35
「探偵社員が一人軍警に捕まっている。組合との最終決戦の前に彼女を助けたい」
安吾はその“探偵社員”に心当たりがあるようで「あぁ……」と漏らした。
「所謂“３５人殺し”ですか」
私は頷きながら桃を取り出し、不可食部を除いていく。四年前にAの見舞いに持って行ったものと同じブランド桃だ。
安吾に負担をかける要望をしている自覚はある。籠の中の高級
「彼女は危険異能者を隔離する無人機にて拘束中と聞きましたが」
「あぁ、だから特務課に手を回して貰いたくってね」
持ち手が兎の形をしたピックを柔らかな白い果肉に刺し、安吾に渡す。安吾はピックを見ては首を傾げていた。「織田作に『果物を差し入れるなら持って行け』と渡されたのだよ」と説明すれば、安吾は孤児達の姿を思い浮かべたのかやけに納得した表情で「どうも」と桃を口に入れた。それを見て私も桃を口に含む。数度の咀嚼の後、上品な甘みに舌を暫し浸してから飲み込んだ。それから安吾を見て、ギプスが無ければその喉仏が大きく上下しているのが見えただろうと想像した。
「確かに、特務課なら超法規的な司法取引による免責も可能です。ですが……」
「うん。まだ彼女は正式な調査員として認められていない。探偵社で完全な治療を行うとは云え、
確認する様に返すと、安吾は瞼を閉じて天を仰いだ。
「殺人は殺人。確かに、特務課と探偵社は協力関係にあります。しかし……社員でもない人間、しかも大量殺人犯に特赦を与えるのは……残念ながら、僕の権限では不可能です」
「何も直ぐに拘束を解いて欲しい訳ではないよ。でも取り敢えずは彼女を地上に降ろせるようにしたい。その為にも無人機の操縦権が欲しい。それと、探偵社から例の無人機へ通信が行えるように手配して欲しい」
「成程。彼女の『入社試験』を対組合と同時に行う、と」
肯定の意を示す様に紙皿を差し出すと、安吾は桃にピックを刺した。刺されたところから果汁が染み出ていた。
「操縦と通信……その程度であれば僕の権限でも何とかなるかも知れません。免責に関しては彼女次第ですがね」
そこまで云うと、安吾は二切れ目の桃を口に放り込んだ。
「安吾……！」
好意的な返事に目を潤ませている私に、安吾は呆れながらも笑みが混じった表情を見せた。
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夢秋(プロフ) - 百笑咲夜さん» お恥ずかしながらその事実を全く知りませんでした。二次創作自体グレーなものですので、今後お気をつけて楽しい創作ライフを送ってください！ (2023年1月21日 0時) (
レス) id: 9185832e78 (このIDを非表示/違反報告)
百笑咲夜 - 初コメ失礼致します。プリ小説というアプリで活動していた者です。感想じゃなくてすみません。主様の作品とほとんど同じ内容の小説をプリ小説で書いていました。すぐに小説は削除します。大変申し訳ございませんでした。 (2023年1月7日 19時) (レス) id: f1d74042d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - ユキさん» 応援ありがとうございます！ クトゥルフのSANチェックがアレですからね……そして夢主ちゃん、元々勝手に姉を名乗っています。どこかの十人兄弟の長兄のようになってますw (2021年8月19日 21時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - とても面白いです！SAN値チェックがあったの笑いました。「どけ！！！！私はQちゃんのお姉ちゃんだぞ！！！」が好きですｗｗｗ１D１０/１D１００には驚きました。ラヴ君、恐るべし・・・。頑張って下さい！最新待ってます！ (2021年8月19日 21時) (レス) id: c2037b5d01 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - 夢女子S氏さん» ありがとうございます！！ やったー！！ 頑張ります！ (2021年8月13日 2時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢野秋 | 作成日時：2021年8月7日 20時
