救済を待つ ページ31
私はずっと、認められたかったんだ。こんな私でも生きてていいと思いたかったんだ。生きる意味を見付けたかったんだ。
目の前に、「生きる許可」を求め続けている少年がいる。
「生きてていい」と云われたい少年が立っている。
ああ、彼は、私によく似ている。
「突き詰めて云うなら――生きてていいって、思われたかったからかな」
敦君は私の返答を聞くと瞠目した。そして前のめりになって、
「そんな、Aさんは何時も誰かを助けてて、必要とされて、かけがえのない存在で――」
と捲し立てた。
敦君の云う通りで、少なくとも太宰さんとＱちゃんにはそう思われている自覚はあるし、『桜桃』の子達や首領などに必要とされているなと感じることはある。
「僕だって貴女に救われた一人だ！」
私は敦君の言葉に頷いた。
「うん、そうだね。それなりに必要とされている自覚はあるよ。無茶して死の淵をさ迷っては多方面から叱られているからね。でも――」
敦君は生唾を飲んで続きを待っている。
「――前世はそうじゃなかった」
「ぜん、せ……？」
敦君は事情が呑み込めないといった表情をしていた。
「敦君。私ね、人生二回目なんだ」
「如何いう、事ですか」
敦君は混乱しながらも言葉を紡いでいた。事の重大さに気付いたのか、声はだいぶ小さかった。
「其の儘の意味。私は一度死んで、太宰Aとして生まれ変わった」
私は敦君に座るように促した。敦君は大人しく座って、私の次の言葉を待っていた。
「私の前世はね、何処にでもいるような普通の女の子だった」
*
父親がいて、母親がいて、弟が一人。
周囲に異能なんてのは存在しないし、ポートマフィアみたいな非合法組織や抗争なんてそんなのは外の世界の出来事で、至って平和な地域に住んでいた。
食べる物にも着る物にも困らない、夏は涼しくて冬は暖かい家があった。
父は公務員、母は専業主婦――いや、私が高校生になってからはアルバイトをしていたや。
父も母も優しい方で、幼い時はよく遊園地に行った。
恵まれていた方だと思うよ。
でも母が精神を病んでいてね、よく癇癪を起こしたんだ。頻度は分からないほどバラバラ。いつ起きるのか分からない。直前になって予想がやっとつくんだ。
私の最初の記憶は一歳前なんだけど、母が一人で「死にたい」と繰り返し呟いていた場面。当時から良くないものだと何となく思っていたな。
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夢秋(プロフ) - 百笑咲夜さん» お恥ずかしながらその事実を全く知りませんでした。二次創作自体グレーなものですので、今後お気をつけて楽しい創作ライフを送ってください！ (2023年1月21日 0時) (
レス) id: 9185832e78 (このIDを非表示/違反報告)
百笑咲夜 - 初コメ失礼致します。プリ小説というアプリで活動していた者です。感想じゃなくてすみません。主様の作品とほとんど同じ内容の小説をプリ小説で書いていました。すぐに小説は削除します。大変申し訳ございませんでした。 (2023年1月7日 19時) (レス) id: f1d74042d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - ユキさん» 応援ありがとうございます！ クトゥルフのSANチェックがアレですからね……そして夢主ちゃん、元々勝手に姉を名乗っています。どこかの十人兄弟の長兄のようになってますw (2021年8月19日 21時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - とても面白いです！SAN値チェックがあったの笑いました。「どけ！！！！私はQちゃんのお姉ちゃんだぞ！！！」が好きですｗｗｗ１D１０/１D１００には驚きました。ラヴ君、恐るべし・・・。頑張って下さい！最新待ってます！ (2021年8月19日 21時) (レス) id: c2037b5d01 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - 夢女子S氏さん» ありがとうございます！！ やったー！！ 頑張ります！ (2021年8月13日 2時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢野秋 | 作成日時：2021年8月7日 20時
