道化の代償２ ページ27
扉が開くと、燃えるような赤い髪の男性が見舞い品を持って立っていた。
「織田作、さん……」
私が名前を呼べば、
「久しぶりだな、A」
織田作さんはふっと表情を緩めた。そしてその直後、私の頬を両手で優しく潰した。
「もっと自分を大切にしろ」
「ひゃい……」
「自分が死んでしまえば、守りたい家族も守れなくなるぞ」
織田作さんは暫く掌で私の頬を揉んだ後、私の頭をわしゃわしゃと撫でた。私の癖毛が更に爆発したような気がする。
織田作さんは持ってきたタッパーを開けた。中では兎林檎が腹を上に向けて整列していた。元暗殺者なだけあり器用だと目を見張る。
「お前は働き過ぎだ、暫く探偵社で休んでいけ」
織田作さんはカラフルなピックのうち一つを取って、林檎の白い果肉に刺した。ピックの持ち手の部分も兎だ。幼稚園のお弁当の時間を思い出した。
織田作さんは短く「あ」と云って私に口を開けるように促す。私が口を開けると、兎の頭から口に入れられた。与謝野女医の治療の賜物で、躰は問題無く動かせるのだが……。ひょっとして、織田作さんは私を子供扱いしているのではなかろうか。確かに、聞き分けの無い子供と思われても可笑しくないくらい周囲の忠告を無視してきた自覚はあるが。
織田作さんに促されて、太宰さんとＱちゃんも各々色違いのピックを取って兎林檎を食べ始める。シャクシャクと咀嚼音が暫く聞こえていた。
「そう云えば兄さん、何故腕を怪我していたのです？」
皆が林檎を食べて落ち着いた頃訊いてみる。一応私は太宰さんが何故怪我の身でいるのかを知っててはおかしいのだ。いやまあ確かに『桜桃』の情報網で……と云えば納得して貰えるが。
「それがねえ、安吾とドライブしていたら組合の車攻撃に遭ってだねえ……」
太宰さんは腕を組んで渋い表情をした。
「車！？ えっと、組合の車に突っ込まれたのですか？」
驚きを混ぜて訊けば太宰さんは頷いた。
「そう。運転席側から組合の車にドカーンと」
「どかーん……って、運転席側って事は安吾さん大丈夫ですか！？」
私が身を乗り出すと織田作さんは私が寝台から落ちる事のないようにそっと抑えてくれた。太宰さんはあっけらかんと云う。
「命に別状は無いよ。特務課の車なだけあって頑丈だったからね。いくらか硝子の破片は刺さって右腕と右脚は骨折もしたし鞭打ちもあるけど。でも
「問題しか無いじゃないですか！」
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夢秋(プロフ) - 百笑咲夜さん» お恥ずかしながらその事実を全く知りませんでした。二次創作自体グレーなものですので、今後お気をつけて楽しい創作ライフを送ってください！ (2023年1月21日 0時) (
レス) id: 9185832e78 (このIDを非表示/違反報告)
百笑咲夜 - 初コメ失礼致します。プリ小説というアプリで活動していた者です。感想じゃなくてすみません。主様の作品とほとんど同じ内容の小説をプリ小説で書いていました。すぐに小説は削除します。大変申し訳ございませんでした。 (2023年1月7日 19時) (レス) id: f1d74042d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - ユキさん» 応援ありがとうございます！ クトゥルフのSANチェックがアレですからね……そして夢主ちゃん、元々勝手に姉を名乗っています。どこかの十人兄弟の長兄のようになってますw (2021年8月19日 21時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - とても面白いです！SAN値チェックがあったの笑いました。「どけ！！！！私はQちゃんのお姉ちゃんだぞ！！！」が好きですｗｗｗ１D１０/１D１００には驚きました。ラヴ君、恐るべし・・・。頑張って下さい！最新待ってます！ (2021年8月19日 21時) (レス) id: c2037b5d01 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - 夢女子S氏さん» ありがとうございます！！ やったー！！ 頑張ります！ (2021年8月13日 2時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢野秋 | 作成日時：2021年8月7日 20時
