異能力 ページ9
「君の異能は、ぼくと同じ精神操作系だ」
そう云ったQちゃんは、どこか私を哀れむような表情をしていた。
「そう、だったんだ」
私から出たのは、そんな掠れた情けない声だった。
異能力には様々な種類がある。
その中でも精神操作系はその性質上、最も忌み嫌われる異能力。
それを持つQちゃんはこれ迄想像を絶するような悲惨な目に遭ってきた。
病院で同じ部屋の子を傷付け、異能の調査のためにマフィアに回され、暴走させ、本当は傷付けたくないのに多くの人を傷付け、そのうちにQちゃんの心は一度壊れてしまった。壊れたQちゃんは、封印作戦の時多くの人を傷付け、無理矢理狭くて暗い座敷牢に押し込められてしまった。
今でこそ明るく笑うQちゃんだが、そうなる迄には多くの時間がかかった。封印作戦の後、私がほぼ毎日のようにQちゃんの元へ通い続けて数ヶ月、やっとQちゃんは子どもらしく愛らしい笑みを浮かべるようになった。
原作ではそんな人はいなかっただろう。その場合、Qちゃんはいつまでも壊れたままだっただろうし、想像を働かせるとゾッとした。
だが、Qちゃんへの偏見は今でも無くなっておらず、マフィアの大半からは未だに嫌悪の視線を向けられている。Qちゃんは精神操作系の異能を持つ辛さを身をもって感じ続けているのだ。
「多分Aちゃんの異能は、受信者の神経に作用するものだよ。ええと、五感ってやつかな。視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚を司る神経を操るんだ。そして幻覚を見せる」
「で、でもそれだったら精神操作系ってよりも身体に作用しているんじゃあないかな?」
私が反論すると、Qちゃんは一呼吸置いた。
「Aちゃん、
「いきなり何を?」
「いいから答えて!」
Qちゃんは今までにないほどに強い口調で云った。
「え、えっと、Qちゃんとピクニックに……!?」
そこまで云ったところで私も完全に悟った。
「もしかして……」
Qちゃんは格子扉から手を出して花びらをつまみとった。
「そんな願いを、この花は叶えてくれたんだ。『2人でピクニック』って願い。Aちゃんの願い通り、ぼくたちは2人でピクニックに行ってた。とてもリアルだった。本当にピクニックに行ってる気分だった。懐かしい、暖かい太陽の陽を浴びた。ぼくもAちゃんとピクニックに行きたかったし、嬉しかった。この花の甘い香りが、甘い夢を見させてくれた」
泣きそうなかおだった。
「花の宝石が割れるまでは」
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ゆめのあき(プロフ) - 舞冬さん» 有難うございます! 滅茶苦茶悩みながら書いていたところでもあるので嬉しいです! (2021年8月16日 23時) (レス) id: 9185832e78 (このIDを非表示/違反報告)
舞冬(プロフ) - 凄いと思いました!神作品をありがとうございます!長文失礼しました。 (2021年8月16日 16時) (レス) id: 42ce09732f (このIDを非表示/違反報告)
舞冬(プロフ) - さんこいち+夢主のバーでの会話、人物の動き、ジイドとの戦闘を織田作と夢主と相手を変えて太宰さんを武装探偵社に入れて織田作も救済…展開を作るのがとてもお上手で本当に尊敬します!!どこもかしこも読みやすくて心情や関係の変化も分かりやすく描かれていて本当に (2021年8月16日 16時) (レス) id: 42ce09732f (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - 瑠衣さん» ありがとうございます! ネタはどんどん散りばめたくなります。シリアスブレイク大好き人間なのでw (2021年6月22日 0時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
瑠衣 - オンデュル語…… 知っている人がいたとは。色々なネタがあってシリアスなところでも読みやすくて好きです!更新楽しみにしてます!! (2021年6月14日 11時) (レス) id: 26b905e4a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢野秋 | 作成日時:2019年4月4日 22時