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それはまるでおかしのような ページ8

「Aちゃんとピクニック! お外でたっくさんお日様浴びて、たっくさん遊び回るの! とーっても楽しいなぁ!」
Qちゃんは私の隣で仰向けに寝そべった。青々とした柔らかい芝生の上でにこにこと笑っていた。
私は、そうだねとわらった。
こんな夢みたいなことがあるなんて、素敵。
あまいあまい砂糖のような香り。金平糖みたいにきらきらした景色。
この世のしあわせというしあわせが溢れている。

そこで私は立って大きくのびをした。
そしてQちゃんがこよなく愛している黒砂糖を取ろうとした時、何かを足で踏んでしまった。
ぱきり。
何かが割れる音がした。
突風が吹いて、目を瞑った。
目を開けたら、ピクニックをしていた春の日差しの中の草原は暗い座敷牢に様変わりしていた。
そこで私はむせた。
むせた時に口を抑えた手にぼとりとあの薄い桃色の花が落ちてきた。
私の足下には薄い桃色の花弁と、血のように紅い宝石が潰されて割れて散ったような欠片があった。

もう一度咳をした。
出てきたのは花ではなく、血だった。
頭痛が、
目眩が、
吐き気がした。
とうとう私は立っている事が出来なくなり、座り込んだ。
冷や汗が吹き出す。
吐いた血が気管に入ってまたむせた。
花がぼとぼと、私の口から落ちてきた。

静寂があった。

「そんな気はしていたよ」
Qちゃんはふと、そう切り出した。
「ずっと思ってたんだよ。なんでAちゃんはあの時――ぼくの封印作戦の時、太宰さんみたいな無効化の異能を持ってる訳じゃあないのに、ぼくに触れても大丈夫だったんだろうって」
Qちゃんは自分の鞄の中から黒砂糖のお菓子を1粒取り出して口の中に入れた。
それが口の中からなくなると、続けた。
「だってさ、可笑しいんだよ。確かにAちゃんはぼくの心を傷付けることなくぼくの封印作戦を終えることが出来た。でもね、Aちゃんは確かにぼくの異能力『ドグラ・マグラ』の支配下にあったんだよ」
他でもない、ぼくがちゃあんと判ってる。Qちゃんはそう付け加えるように云った。
「『ドグラ・マグラ』にかかって、ちょっとだけAちゃんは確かに正気を失ってたんだ。でもね、Aちゃんは自力でぼくの異能から立ち直ったんだ。それもね、異常な速さで」
Qちゃんは私の前にしゃがみ込んで目をあわせた。
「それはほんとに可笑しいことなんだよ。……でもね、ぼくはさっきのことがあったからハッキリ解ったんだ。Aちゃん。君の異能は、ぼくと同じ精神操作系(タイプ)だ」

異能力→←それはまるでくすりのようで



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰治 , 転生   
作品ジャンル:アニメ
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ゆめのあき(プロフ) - 舞冬さん» 有難うございます! 滅茶苦茶悩みながら書いていたところでもあるので嬉しいです! (2021年8月16日 23時) (レス) id: 9185832e78 (このIDを非表示/違反報告)
舞冬(プロフ) - 凄いと思いました!神作品をありがとうございます!長文失礼しました。 (2021年8月16日 16時) (レス) id: 42ce09732f (このIDを非表示/違反報告)
舞冬(プロフ) - さんこいち+夢主のバーでの会話、人物の動き、ジイドとの戦闘を織田作と夢主と相手を変えて太宰さんを武装探偵社に入れて織田作も救済…展開を作るのがとてもお上手で本当に尊敬します!!どこもかしこも読みやすくて心情や関係の変化も分かりやすく描かれていて本当に (2021年8月16日 16時) (レス) id: 42ce09732f (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - 瑠衣さん» ありがとうございます! ネタはどんどん散りばめたくなります。シリアスブレイク大好き人間なのでw (2021年6月22日 0時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
瑠衣 - オンデュル語…… 知っている人がいたとは。色々なネタがあってシリアスなところでも読みやすくて好きです!更新楽しみにしてます!! (2021年6月14日 11時) (レス) id: 26b905e4a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢野秋 | 作成日時:2019年4月4日 22時

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