ハルジオン / 雅野椿 ページ1
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「バレンタインかぁ…」
街に並ぶチョコレートの数々。
可愛らしい女の子達が、チョコレートの前で悩んでいる姿が愛らしく感じる。
「去年は渡すんじゃなくて、貰ってたな…」
懐かしむ様に一年生頃を思い出していた。
あの時もした、チョコレートには似合わないイチゴの香りを残して。
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「…やっと見つけた」
「わぁツ!」
部室で足りないものが無いか確認をしていたら、後ろから肩をトン、と叩かれた。
集中していると周りを見なくなる私の癖は、顧問に声を掛けられても気付かず、私がいる状態で鍵を掛けるれる等、よくある事で…。
「ごめんね、気付かなくて…」
「いーよ、どうせ今日のイベントも知らずに部室でなんかやってると思ってたし」
「……イベント?」
「ほらね」
呆れたような顔をして、首を横に振った。
今日は学校内で何かイベント事でもあっただろうか。
本来なら忘れないはずなんだけど、よく抜けてる所があるからと言われ、学校行事や私の掃除当番まで把握してる椿にこうしてよく声をかけてくれる。
「ごめん…今日何か忘れてるっけ?」
「……ッ、あ〜もう!これ!」
渡されたのは可愛くラッピングされた袋だった。
開けないと中は見えないようになっている。
「プレゼント?私、今日誕生日じゃない…」
「そんな事知ってる!今日はバレンタインって言ってんの!」
「あっ!」
そうだ、私もせめて野球部員には…と思い手作りしようとレシピ本を買って終わっていた。
すっかり忘れてた〜…と頭を抱えその場にしゃがみこむ。
バレンタインとは無縁の世界で生きてたから、覚えてなかった。
この様子じゃ、ホワイトデーも忘れていそう。
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蒸田。(むしだ)(プロフ) - くっ…蛍からチョコを貰いたい人生だった… (2019年2月17日 7時) (レス) id: f91a58f64c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花言葉企画参加者一同 x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年2月14日 22時