捌拾玖 ページ47
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義勇さんの指先が少し控えめに、私の
楽しかったか、なんて。正直に答えていいものなのか少しだけ逡巡して、義勇さんに頷き返す。
『楽しかったです。』
「……そうか。」
『ふふ。』
少しだけ、義勇さんが眉根を
決して義勇さんはころころと表情が変わる人ではないけれど、ちょっとずつ、表情の変化が見て分かるようになってきた……気がする。
彼が
『後藤さんとお話するのも楽しかったですけど、義勇さんと話すのが一番楽しいです。』
「話すのが下手な俺でもか。」
『もう。そんなこと言わないで。』
今度は私が頬を膨らませる番で、義勇さんが小さく「すまない」と呟いた。仲直り、って手を繋いだ。
……出会った頃に比べれば、たくさん言葉を交わせている。彼の知らない部分を段々と知ることができている。
これから先、彼をもっと知ることができるのだと思うと少し嬉しい。私しか知らない彼がいるように、彼しか知らない私もいるはずなのだから。
「……あれが先生がいる家だ。」
坂道を登った先、木々に囲まれるようにしてひっそりと佇む家。背面は山があり、周囲は田園に囲まれていて……静寂に包まれた、悠々とした時が流れているようだ。
ここが、義勇さんが親友である錆兎さんと共に鍛錬をした場所。そして……義勇さんが炭治郎君と禰豆子ちゃんを導いた先。
義勇さんは先生の家を前にして、動かなくなってしまう。繋いでいた手は
……その背は、どうしても孤独だ。
『大丈夫、ですか。』
「……あぁ。」
決心をしたように、義勇さんは一歩踏み出す。
―――カラリ。
義勇さんが一歩踏み出したと同時に、引き戸が開けられた。そこから姿を現したのは、天狗のお面を付けた人で。
短く切り揃えられた
「お久しぶりです、先生。」
「……よく来たな、義勇。」
この人が、鱗滝左近次さん……。
私の知らない義勇さんを知っているひと。
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三月の専属ストーカーなつめみく - ｷﾞﾕｳｼｬﾝの不器用な感じがめちゃｽｷｨｯ (2023年10月11日 10時) (
レス) @page23 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
Kk - 更新再開ありがとうございます。これからも楽しみにしています。 (2023年8月21日 9時) (レス) id: 51f0cf609d (このIDを非表示/違反報告)
香恋 - 夢主ちゃんの心がとても強いのが印象的です。義勇さんと幸せになって欲しいですが、不穏な空気ですね…義勇さん幸せになって欲しいです。。義勇さんの律儀で真面目で美しい雰囲気にピッタリの作品ですね。素敵な作品ありがとうございます。 (2023年6月25日 23時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鳥遊 | 作成日時：2023年6月20日 0時
