chapter:35 ページ36
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「あの...アールグレイとホットサンドをお願いします」
かしこまりました、と笑みを浮かべた店員さんがいなくなり、再び気まずい空気が流れる。
「...外で編集とか、するんだね」
「まぁ...たまには」
「昨日は良い動画撮れた?」
「うん」
私の問いかけに対する返事は全て一言で済まされた。
というか、私の言いたいことはそんなどうでもいいことじゃなくて...
「あの...ごめんね」
急に喉が乾いて、一口アールグレイティーを口にする。
「いいよ、別に。」
感情のこもっていない、ロボットのようなえいちゃんの声が怖くて何も言えないでいると、またえいちゃんが口を開く。
「別に...俺らにまでそらと付き合ってること隠さなくてもいいし」
「...え?」
そう言ったっきりパソコンに視線を戻してイヤホンを耳にはめようとするのを急いで引き止める。
「、待って!」
既に片耳にはめていたイヤホンを取って、少し不機嫌そうな顔で私を見るえいちゃん。
「...そらとは付き合ってないよ」
「でも...」
「だって、私は...!」
“えいちゃんが好きだから”と言いかけて、口を噤む。
「...何?」
「何でも、ない。けど、本当に付き合ってないよ」
どうかきちんと伝わりますように、とじっと目を見つめてそう言う。
さっきの不機嫌そうな顔が少しマシになった(ような気がする)えいちゃんに安心する。
「...そう」
でも、そう言ってまたイヤホンを耳にはめた。
もう呼び止める気にはなれなかった。
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あれ以降会話は一切なく、ホットサンドを食べ終えた私は堪らず店を飛び出した。
課題進められなかったなぁ...と大学行きのバスの時間を調べていると、りっくんからLINEが届いた。
リクヲ久しぶり。そらから聞いたと思うから僕から言うことは特にないけど...色々と気にしすぎないでね。また前みたいに話してほしいし!
うわー久しぶり!とつい声に出してしまいそうになるが、りっくんが目の前にいるわけでもなければ周りには知らない人だらけ。すんでのところで飲み込んで、返信する。
A久しぶり〜!うーん...やっぱり申し訳ないとは思うけど、私も前みたいに話したいな
犬が跳ねてるスタンプも送って、ポケットに仕舞う。
バスが丁度やって来たところだった。
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エイカ - お話の感想ではないことを書き込んでしまいすみません…。 (2018年3月28日 18時) (レス) id: 7eb5523693 (このIDを非表示/違反報告)
エイカ - お久しぶりです!今回のお話もとてもよかったです!えいちゃんと夢主ちゃんが会ってとても嬉しいです!笑続きがとても気になります…!更新頑張ってください!話が変わりますが3/25にファンミに行きました!初めて近くでアバンティーズを見れてとても嬉しかったです♪ (2018年3月28日 18時) (レス) id: 7eb5523693 (このIDを非表示/違反報告)
雨城(プロフ) - とんでもないです!そして、ありがとうございます。エイジさんをたくさん登場させたいと思いながらも字数制限に負け、あまり書けなくて…たくさん登場させられるように頑張ります! (2018年2月6日 9時) (レス) id: e39777545c (このIDを非表示/違反報告)
エイカ - 雨城さん» アドバイスありがとうございます。あと、今回のお話もとても面白かったです。今までえいちゃんがあまり出てこなかったので楽しく読まさせていただきました。 (2018年2月5日 19時) (レス) id: 7eb5523693 (このIDを非表示/違反報告)
雨城(プロフ) - エイカさん» 字数制限があるので、あまり詳しいアドバイスができずすみません。私でよければいつでも質問していただければ答えさせていただきます。エイカさんもお話の更新、頑張ってください! (2018年1月17日 0時) (レス) id: e39777545c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨城 | 作成日時:2017年12月19日 23時