chapter:15 ページ16
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「住所、教えて?」
「うん、えっと…」
運転席に乗り込む前にさりげなく助手席のドアを開けてくれたのにドキドキして、車内に入って2人なんだ、と考えるとまたドキドキして、エンジンが掛かってからも借りてきた猫のように大人しくしてると、隣からそう声を掛けられた。
そりゃそうだよね、家知らないもんね。
「案外近いんじゃん、いつでも行けるわ」
隣でそう笑いながらえいちゃんが言うけど、さっきまで、というか私が再会してから抱いていたイメージとは全く違う姿にびっくりする。
こうやって笑いながら話してくれる方が尤も、話しやすいし嬉しいからいいんだけど。
「そう、だね、だからと言って勝手に来ないでよ?笑」
「そんなことはしねーよ、でもまたうち来るって言うんなら迎えにいくわ。家覚えとく」
「うん、ありがと」
「じゃあ出発な」
慣れた手つきで車を動かしていく姿って、やっぱりかっこいいな…私が運転免許持ってないからそう思うのかもしれないけど。
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『この先右方向です』
しばらく車を走らせ、大きな道路へ出た頃。
右方向だというナビを無視して真っ直ぐ車を走らせるえいちゃん。
「えいちゃん…?右、だったよ?」
「あー…うん、知ってた。」
「あ、そこの細い道右に曲がっても同じ道に着くから、そこを…」
「まだ時間あるんだよな?」
「え?」
信号で1度止まったかと思えば、こっちを見てそう問いかけられる。
「うん…あるけど、」
「じゃあいいじゃん」
青に変わった信号でまた車を発進させ、私の言った細い道も無視して真っ直ぐ走り始めた。
「さっき、家で全然話せなかったからさ…俺のドライブに付き合ってよ」
「うん…うん、いいよ」
こちらを見ることなく、真っ直ぐ向いていたものの目を細めて笑うえいちゃんは、暗くてあまりよく見えなかったけど私の心を掴んで離さなかった。
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ドライブを初めて10分くらいが経った。
段々話も弾み始めて嫌われてるのかも、避けられてるのかも、という緊張は取れたものの、2人だという状況に対する緊張は増す一方だった。
「えいちゃん、私のこと嫌いなのかと思った」
「え?何で〜」
「だって…街で会った時そらと一緒に来てもくれなかったし、今日も家で話してくれなかったし」
「それは…ごめん、色々あるんだよ」
「色々ねぇ〜」
「まぁとにかく、嫌いとかそういうことは全くねぇよ」
「そっか、ならいいんだけど」
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エイカ - お話の感想ではないことを書き込んでしまいすみません…。 (2018年3月28日 18時) (レス) id: 7eb5523693 (このIDを非表示/違反報告)
エイカ - お久しぶりです!今回のお話もとてもよかったです!えいちゃんと夢主ちゃんが会ってとても嬉しいです!笑続きがとても気になります…!更新頑張ってください!話が変わりますが3/25にファンミに行きました!初めて近くでアバンティーズを見れてとても嬉しかったです♪ (2018年3月28日 18時) (レス) id: 7eb5523693 (このIDを非表示/違反報告)
雨城(プロフ) - とんでもないです!そして、ありがとうございます。エイジさんをたくさん登場させたいと思いながらも字数制限に負け、あまり書けなくて…たくさん登場させられるように頑張ります! (2018年2月6日 9時) (レス) id: e39777545c (このIDを非表示/違反報告)
エイカ - 雨城さん» アドバイスありがとうございます。あと、今回のお話もとても面白かったです。今までえいちゃんがあまり出てこなかったので楽しく読まさせていただきました。 (2018年2月5日 19時) (レス) id: 7eb5523693 (このIDを非表示/違反報告)
雨城(プロフ) - エイカさん» 字数制限があるので、あまり詳しいアドバイスができずすみません。私でよければいつでも質問していただければ答えさせていただきます。エイカさんもお話の更新、頑張ってください! (2018年1月17日 0時) (レス) id: e39777545c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨城 | 作成日時:2017年12月19日 23時