change 〜Another story 5〜

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それこそやりきれないだろう

相手は自分達を応援してくれているファン


皆が楽しめる会場を作るのは彼らの仕事だけど
その会場のルールを守るのはファンの仕事だと思う

「ランペは本当に素敵なグループだね」

一部の浅はかな欲望を近くでみても、その他の大勢のファンのために最後まで走りきる

「お疲れ様」

先輩と後輩に挟まれた立ち位置で
今日に限っては怪我人まで出てしまって。

「頑張ったね、樹」

自分の中から生まれてくる感情と戦いながら踊るのは、心底疲れただろう


体の向きを変えて、樹の顔を正面から見る

俯いたまま眉を寄せた彼の頬に、ゆっくりと手を寄せた

「樹はすごいよ？樹だけじゃなくて皆もそうだけど、こんなに想ってもらえるファンは幸せだよ？私だってそんな人達に関われて幸せだもん」

だからね、樹…

「そんな顔しないで…？」

精神的に疲れたんだろう
ボロボロと涙をこぼし始めた

お互いいつからこんなに脆くなったんだろうね？
それでも、弱いところを見せられる人がいるのは
幸せなことだと私は思う

「お疲れ様。いっぱい泣いていいよ」

『ごめっ…』


私のこんなに拙い言葉で、樹の心の奥にある煮え切らない思いを和らげることができたかはわからない

それでも子供のように私の腕の中で泣く彼は
いつもよりも弱く、小さく思えた


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