25.Shogo side ページ25
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翔吾「俺取ってくるからここにいな?」
「え…でも…」
翔吾「いいから。待ってな?ね?」
「うん…」
いつまで経っても動こうとしないA。
正確には、動こうとしないというより、動けないんだろうけど。
バタンとレコーディングルームを閉めて、さっきまでいたスタジオに足を向けた
玲於さんがいるって確証はない
でも、なんとなく…荷物があれば戻ってくるのを待っている気がする
ガチャ…
ほら、やっぱりな?
鏡の前にしゃがみこむように座った玲於さん
彼のスマホからは微かにLove You Moreが流れていた
翔吾「…お疲れ様です」
玲「何しにきたの」
翔吾「忘れ物を取りに?」
ジッと俺を見つめる玲於さんの視線を感じながら
Aのリュックを持ち上げて、床に転がったスマホとキャップを拾う
玲「…Aは?」
翔吾「さぁ?」
玲「どこにいんの?」
翔吾「わからないです」
とぼける俺に向かって歩いてくる玲於さんはいつもより何倍も冷え切った目で俺を見てくる
玲「どこにいんの?」
翔吾「教えられません」
玲「教えろよ」
プチンと俺の中の何かが弾けた
翔吾「教えるかよ…」
玲「は?」
翔吾「好きなくせに泣かせるだけのアンタには渡さない」
玲「…っ」
俺が出て行ってどうこう言う問題じゃないって思ってたのに。
さっき諦めたはずの甘ったるい感情は
音を立てて沸騰するみたいだ
翔吾「Aは…俺がもらう」
バンっ!!
完全に言い逃げだけど。
吐き捨てて扉閉めちゃったけど。
勢いだけで何言ってんだ俺…
こんなに諦めの悪い所が、自分の中にあっただなんて
Aはウザがるかな?
翔吾「ははっ…」
俺の乾いた笑い声は、小さく消えた
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美紀 - 移行おめでとです気温の変化が激しいので気を付けて更新大変だと思いますが頑張ってくださいね応援してます (2019年12月23日 12時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぬう | 作成日時:2019年8月12日 1時