change 〜Another story 10〜

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「まって…親に何も言ってないよ私…」

『俺挨拶行ったよ』

「いつ！？」

『先週の土曜日』

いつの間に…
そしてお父さんもお母さんも何も言ってこなかった…

「樹のご両親は！？」

『それも報告済みだよ』

なんて用意周到なんだ…

「樹…会社は…？」

1番気になるのはそこだった

『許してくれたよ、社長もHIROさんも』

「ほんとに…？」

『うん。よく8年も耐えれたなって逆に感心された』

「よかった…」

『ほら、かいて？日付変わる前に出しに行こう？』

「うんっ…」

震える指で書いた"町田 A"の字は
自分の名前なのに、緊張してこれまで生きてきた中で、1番汚い文字だったと思う


2人で堂々と手を繋いで、役所まで歩いた

「なんか…悪いことしてる気分」

そう呟いた私に微笑んだ樹は、ギュッと繋いだ手に力を込めた


役所に提出すると、あっさりと受理された婚姻届

意外とこんなもんなんだ、って思った

『なんか…あっさりだったね』

樹も同じこと思ったらしい。


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