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『今日あの元カレと後輩ちゃんの結婚式だったんでしょ?』
「なんで…それ…」
『店長に聞いた。あ、オーナー?』
そう言ってクスクス笑う樹とは反対に、私の目に涙が溜まり始める
「なんで…ここ…」
『それは山川さんが教えてくれた』
そんな事よりも聞きたいことだって、話したい事だって沢山あるはずなのに
彼を目の前にしたら何も出てこなかった
未だ動けない私に、おいで、と手招きした樹
ガクガク震える足で1歩ずつ彼の元へ近付いた
やっと会えたのに、まともに顔も見れない
下を向いたまま近づいたら、樹の靴が見えた
『…A…顔あげてよ…』
切実に、願うようにそう言われてゆっくり顔をあげると
眉を寄せて笑う彼と目があった
『泣かないで』
私の頬を伝う涙を、親指で拭う
「だって…」
泣かないなんて、無理だ
8年間、一瞬たりとも忘れられなかった
いつか来てくれるって信じて待ち続けた
樹の右手が、私の左手をギュッと握った
『待たせてごめんね…』
樹のその言葉に、なんとか耐えていた物がガラガラと崩れ落ちて
涙腺が壊れたかのように涙が止まらなくなった
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のあ(プロフ) - 続編作って欲しいくらいめちゃめちゃ良かったです! (2021年3月20日 9時) (レス) id: 204a7d0311 (このIDを非表示/違反報告)
美憂(プロフ) - お疲れ様でしたー。また読み返します! (2021年2月24日 21時) (レス) id: 35846edb09 (このIDを非表示/違反報告)
ぬう(プロフ) - おこめさん» ありがとうございます!!かなり長編になってしまってるので…休憩挟みつつお楽しみ下さいませ…(笑) (2020年8月5日 23時) (レス) id: e113cb90be (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - この作品が一番好きで、名残惜しいので今からまた一から読み返してきます!! (2020年8月5日 7時) (レス) id: cf6328cb96 (このIDを非表示/違反報告)
ぬう(プロフ) - ライラさん» ありがとうございます…!!スローリー執筆になりがちなのでそう言って頂けるとなんだか救われます…(〃ω〃) (2020年7月31日 10時) (レス) id: e113cb90be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぬう | 作成日時:2020年6月7日 23時