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歩き慣れない高いヒールで1歩ずつゆっくりアパートに近付く
暗闇の中段々とはっきりしてくるシルエット
私の部屋の前にもたれかかるようにしゃがみ込むその人
スマホを握りしめた指が、カタカタと震えていくのがわかった
踏み締めるようにアパートの階段を上がる
カツン、カツンとヒールの音が響く
店長は、このことをわかっていての発言だったのだろうか
階段を登り切ったとき、私の足音に顔を上げた彼が言った
『おかえり』
カシャーン…
私のスマホが、指の間から落ちていった
待ち焦がれた相手が、
私の目の前にいる
『あーあ…壊れるよ?』
立ち上がって私のスマホを拾い上げた
画面にヒビが入ろうと、砕け落ちて使い物にならなくなろうと構わない
さっきまで体を巡っていたアルコールは完全に飛んだ
私の中の時計が、流れるように進み始める
触れられる距離に、貴方がいる
「い…つき…」
8年ぶりの貴方が、今、そこにいる
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のあ(プロフ) - 続編作って欲しいくらいめちゃめちゃ良かったです! (2021年3月20日 9時) (レス) id: 204a7d0311 (このIDを非表示/違反報告)
美憂(プロフ) - お疲れ様でしたー。また読み返します! (2021年2月24日 21時) (レス) id: 35846edb09 (このIDを非表示/違反報告)
ぬう(プロフ) - おこめさん» ありがとうございます!!かなり長編になってしまってるので…休憩挟みつつお楽しみ下さいませ…(笑) (2020年8月5日 23時) (レス) id: e113cb90be (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - この作品が一番好きで、名残惜しいので今からまた一から読み返してきます!! (2020年8月5日 7時) (レス) id: cf6328cb96 (このIDを非表示/違反報告)
ぬう(プロフ) - ライラさん» ありがとうございます…!!スローリー執筆になりがちなのでそう言って頂けるとなんだか救われます…(〃ω〃) (2020年7月31日 10時) (レス) id: e113cb90be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぬう | 作成日時:2020年6月7日 23時