転生者は、前進する Lv.3【イナズマイレブン】

第122話・風邪 ページ29

「A？」

吹雪の様子を見に行ったのは正確には全員ではなかった。
風丸に名前を呼ばれても反応を返すこともなくポツンとたたずむA。

━━━すると、フラリと身体を左右に揺らし膝から崩れ落ちた。

「A！」
「Aさん！」
「A！！」
「A！ どうしたんだ、A！」

倒れたAの身体を抱き上げる風丸が「熱い…、酷い熱だ！」と言う。

「音無さん監督を呼んできて！」
「は、はい！」
「念のため救急車も呼ぶわ！」

マネージャーたちの迅速な対応はとても的確だった。
救急車がすぐに到着し瞳子が一緒に乗り込み近くの病院へ運ばれたA。

「大丈夫でしょうか…Aさん…」

涙目でAの乗った救急車を見送った春奈の頭を鬼道が撫でる。心配しながらもイプシロン戦へのボルテージを下げるわけにはいかないため、鬼道と円堂が声掛けをする。


「Aのことは監督に任せよう！」
「ああ。イプシロン戦は明日だからな」

鬼道も円堂も心配なのは本心だ。だがチーム全体のことも考えなくてはならないのだ。
その後、瞳子から電話がありAの容体が命に別状なく風邪だそうだ。

「風邪？」
「はい。監督の話だと夜遅くまで汗でびしょびしょだったそうです」

瞳子の話では、今日は入院をするらしく明日の容体によって退院か引き続き入院かを決めるそうだ。

「て、ことは…」
「明日はAなしか…」

エイリア学園に対して戦力として欠かせないAの欠場はとても痛い。彼女が出ないことで、目金が出ることも意味しており目金は震えがっていた。
不安な表情を浮かべる雷門イレブンに対し円堂が明るく声をかける。

「大丈夫だ！ 俺たちには吹雪がいる！ 頼んだぜ、吹雪！」
「…勿論。みんなの期待に応えてみせるよ」
「ああ！ それに俺たちだってパワーアップしてる。大丈夫だ、絶対にな！」

ニヘッと白い歯を見せ笑う円堂に吊られて、不安そうな表情をしていた雷門イレブンの面々の表情が明るくなった。


「よしっ！ 明日は頑張るぞ！！」
「「オオッ！！」」

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