第088話・違う人間 ページ42
「あの世宇子に勝ちたかっただけだろう?」
「なっ」
「お前が欲しかったのも、強さだ!!」
「……そのためにあの影山についてもいいのか! 影山が何をやったか覚えているだろ!?」
鬼道は源田と佐久間に歩み寄る。
「源田、俺たちと一緒に来い! なあ、佐久間もいっしょ━━━━」
佐久間の肩に手をかけようとした鬼道の手を、佐久間が振り払った。その佐久間の行動に鬼道が言葉をなくす。
「…あの時。俺たちが病院のベッドの上でどれほど悔しい思いをしたか…お前には分からないさ」
軽度の怪我を負った帝国の選手たちは、世宇子戦で最前線にいた佐久間とゴールで無慈悲なまで叩きのめされた源田よりも先に退院し練習後にお見舞いに来る日々。早く退院して世宇子への雪辱を果たしたいのに、身体が言うことを聞かない。
入院中に不動と出会い、影山の元へ行くと力を与えてくれたことを話した2人。
「動けないベッドの上で、俺たちがどんな思いだったか…」
「雷門イレブンに入り勝利を掴んだお前には、絶対分からない」
「お前には勝利の喜びがあったろうが、俺たちには敗北の屈辱しかなかったんだよ!」
「そんな言い方ないだろ! 鬼道は、お前たちの為にも世宇子を倒そうって━━━━」
「円堂」
「!」
鬼道を庇う円堂を止めたのは他でもない、Aだった。アニメ版ではここで鬼道が止めて源田と佐久間に頭を下げる場面だが━━━
「…その日、その時の想いは、その人にしか分からない。それは鬼道や源田、佐久間が違う人間だからだよ。鬼道が二人の想いを理解しようとしても分からないのは事実…」
「A…」
「でもね源田、佐久間。鬼道が目の前で倒れていく君たちを見て黙って見ていられるほどの無慈悲な男じゃないことは知っているはずだろう」
「A、もういい…。俺も、お前も…佐久間たちを一方的に責められない。原因は俺なんだ。……俺なんだ」
「! …き、どう…」
Aの両肩を掴み制止する鬼道。奥歯を食いしばり悔しさに滲んだ手をAの肩が実感した。強く、熱く、Aの肩を掴む。
「すまなかった…」
Aの肩から手を離した鬼道は、源田と佐久間に頭を下げて謝った。
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活字不足卍(プロフ) - アリガトーアリガトー 今日もコーラが美味い! (2022年6月9日 1時) (レス) id: 63abfde266 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 54話はた○く細胞のことですよね?それにしても本当にこの小説好き!! (2021年1月25日 20時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 作者さん、ボロくそ分かるぞそれv2さすがにそこまでは、いかないけども確かにさっくん(佐久間)も好きじゃ。でもね我の最推しは、神様仏様 "照美様" です!!(語彙力なくてすみません) (2019年8月8日 10時) (レス) id: baae3e32b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:活字不足卍 | 作成日時:2019年7月31日 0時