第072話・助けられている ページ26
「よろしくね。お姉さんあんまり手加減とかできないタイプだから」
「フンッ、速攻で決めてやる!」
春奈の合図でAvs木暮が始まった。
木暮の小さい身体を活かした瞬発力で一瞬にしてAの元まで行く。
「俺の勝ちだ!」
「まだまだ」
「え?」
ボールを多少足に引っかけただけで勝った気でいた木暮。Aはボールを掬いあげ胸でトラップしそのままリフティングを始めた。
「もう一回!」
木暮は何度も何度もAに食って掛かる。だがAはそんな木暮を嘲笑う(実際そうかもしれない)かのように笑みを浮かべながら二回目からボールに絶対に触らせないようギリギリのところを華麗にかわし続ける。
「もう一回だ!!」
「あははっ、いいぞぉ少年。諦めない過程がいい結果を生み出すんだよ」
「バカにすんな!」
そう言ってAの足元のボールを奪おうとした。そんな様子が2時間ほど続いて、Aは休憩をすると、木に凭れ掛った。春奈は持ってきたタオルと水をAに手渡した。すでに日も完全に昇りきり小鳥がさえずっていた。
「はぁ〜、朝からこんなに動くのは中々ないな〜」
「すみません…」
「いいよ。さっきも言ったけど、君のお願いだしね。選手のこっちとしてはいつも助かっているんだから」
「Aさん……。でも私、本当にお役に立っていますか?」
「どうして?」
「…私が集めようとしたデータは、Aさんからもらったものに大抵入っているんですよ」
去年からAが作っていたデータは、春奈が何ヶ月かけてもすべて読み切れない量で、その中には国内のサッカー強豪校、クラブチームもあり、更には海外チームまでデータベース化されており自分がもらったのは間違いだったのではないかと思っていると、心の内を開けてくれた。
「どうかな」
「え、」
「去年は見えているだけの雷門が今じゃ宇宙人と戦って地球を守ろうとしている。…私が君にデータを上げたのは有効活用してくれるからだと思ったから」
「……」
「だから引け目を感じなくていい。君には私も、みんなも助けられているんだから」
「っ…」
若干の涙目になっている春奈の頭を撫でていると、木暮が「いつまで休憩しているんだ」と声を上げて来た。
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活字不足卍(プロフ) - アリガトーアリガトー 今日もコーラが美味い! (2022年6月9日 1時) (レス) id: 63abfde266 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 54話はた○く細胞のことですよね?それにしても本当にこの小説好き!! (2021年1月25日 20時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 作者さん、ボロくそ分かるぞそれv2さすがにそこまでは、いかないけども確かにさっくん(佐久間)も好きじゃ。でもね我の最推しは、神様仏様 "照美様" です!!(語彙力なくてすみません) (2019年8月8日 10時) (レス) id: baae3e32b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:活字不足卍 | 作成日時:2019年7月31日 0時