第189話・紫陽花の秘密 ページ9
宿舎に荷物を置き、ユニフォームに着替えるとグラウンドに吹雪がいた。
「吹雪！」
「やあAちゃん、久しぶり」
「吹雪が戻ってくるってことは……」
Aが言葉を濁すが、不動が続けた。
吹雪が戻ると言うことは、今いるメンバー1人が代表から外されると言うことだと。
久遠が栗松に帰国の準備をするよう申しつける。
「まぁ私より重傷だもんね〜、栗松は」
とAは栗松の足首をぎゅっと握った。
「！？？！」
声にならない痛みが栗松を襲う。
「栗松くん、怪我していたんですか！？」
「だ、大丈夫でヤンス！」
「ばっか。放置したら二度とサッカー出来なくなるよ」
「ぐっ……わかったでヤンス」
午後は、Aと吹雪が合流し練習を終えた。
そして夕方に栗松が帰国することになり、みんなで見送った。
その日の夜、洗面所で紫陽花を花瓶に入れるため、茎を切っていると鬼道がAの元へやって来た。
「どうしたんだ、その花は」
「うん？ お見舞い品」
「お見舞い？ Aが入院したのは一日だったろう。一体誰が…」
彼女が入院したことなど早々漏れる話ではない。
例えファンがそれを知っていたとしても病室に置くのは無理があるだろうと、考えに至る鬼道。
花の手入れをするAの表情をどこかフワフワしていた。
「そういえば、前も紫陽花を持っていたな」
「覚えてるんだ。そう…おかあさんが紫陽花が好きなの」
「Aの母親が…」
紫陽花は、酸性の土と弱アルカリ性の土の栄養で色が変わる花。
花言葉は『家族団らん』
彼女の母はこの花言葉が好きで、よく紫陽花の季節になると
庭先に咲いた紫陽花を取って花瓶に入れていた。
ふと、鬼道は気づく━━━━━彼女の母親がその花を好きなことは、親族であれば知り得ること。
だがこのライオコット島に彼女の母、幸の親族はいない。いるのは、そう
「おい、待って！ その紫陽花…まさかっ」
「ふふっ、ひーみーつー」
花瓶に紫陽花を入れると、Aは今にでもスキップしそうな足取りで洗面所を後にした。
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活字不足卍(プロフ) - ごめんちゃい………でも頑張って10月中に出すよ！ (2022年10月21日 23時) (
レス) id: 251c6e8c34 (このIDを非表示/違反報告)
活字不足卍(プロフ) - 極端に言うとほぼ今日から書き始めました (2022年10月21日 23時) (レス) id: 251c6e8c34 (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - 更新楽しみにしてます。 (2022年10月9日 21時) (レス) id: 883542d863 (このIDを非表示/違反報告)
フラッペ(プロフ) - お仕事大変なのに更新ありがとうございます。生きる糧なので続きを期待して待ってます！ (2022年10月8日 18時) (レス) @page37 id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - 続き楽しみにしてます。頑張ってください。 (2022年10月8日 14時) (レス) @page37 id: 9767c8e410 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：活字不足卍 | 作成日時：2022年9月22日 21時
