第158話・独壇場 ページ23
そしてオルフェウスのキックオフで後半戦が開始された。
ハーフタイムでAとの会話をし、互いに譲れないこの試合に向き合うことになった。
だが鬼道の調子は上がらない。
ぎこちないプレーが続く。
「役立たずが!」
こぼれ球を不動が拾い、自分が中盤を指揮すると宣言するが
突然のことに選手たちは戸惑い不動の指示に足が動かなかった。
だが1人、不動より前に出た選手がいた。
「A!」
ボールがAへ渡される。
ドリブルでゴールへ向かの彼女の前にチームKのDFが襲い掛かってくる。
「チェーンバインドV2!」
無数の鎖がヘビのように絡みつき2人のDFを動きを止める。
「またやられにきたか!」
ニヤリと口角を上げるデモーニオが間に立ち塞がる。
Aは小首を傾げた。
「やられにきた? 君に? 君に私が倒せるとでも?」
「なに…」
純粋な疑問のような口調に対し、
虚を突かれたデモーニオはゴーグルの下から目を大きく見開いた。
「自分の力があるって勘違いしているやつほど、滑稽な娯楽はないよねぇ〜」
煽るように顎を突き出し冷笑を浮かべるAに、
背後からビアンコ、ビオレテがスライディングタックルをしてくる。
だがそれも分かっていたかのようにジャンプして躱す。
そして次々に襲い掛かってくるチームKのメンバーは軽くあしらい、
ボールを取られないようひらひらとその場を舞う。
身体の柔軟さと並外れたバランス感覚、人の動きを読む観察眼に回転の速い頭による予測。
彼女がこれまで様々なスポーツをかじり、
サッカーのためだけに研磨されてきた技術がこれでもか、と披露される。
「なんだアイツの動き?!」
「本当に中学生か…?」
「……フィディオか、キャプテン以上の……逸材…」
ベンチにいるオルフェウスのメンバーは口をあんぐりさせる。
開いた口が塞がらない。
「これがっ…九重Aの実力だって言うのか…?」
フィールドにいるフィディオには分かる。
━━━━━━ここは、彼女の独壇場。
彼女の領域、一切の深入りを禁じる聖域である。
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皇(プロフ) - 一番最初から全部読みました。最高です。しかもまだまだ続く…!やっと追いついたので本日の一言も始めてみましたがとても面白かったです。これからも更新頑張ってください!✨ (2022年9月22日 9時) (レス) @page38 id: 84ae00d6d7 (このIDを非表示/違反報告)
フラッペ(プロフ) - 本日の一言が好きすぎる (2022年9月14日 23時) (レス) @page23 id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:活字不足卍 | 作成日時:2022年9月11日 16時