転生者は、苦悩する Lv.4【イナズマイレブン】 (ページ48)

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第187話・人はどんな形であれおもてなしするべしページ48

乙女のように恥じらう風丸に若干楽しんでいたAだったが、脱衣所に案内して洗濯機に脱いだものを入れさせた。男子の制服ズボン(洗濯可)の代わりに、古着を持ってきたA。

「これ古着だけど私使ってないものだから。乙女のよう恥じらう必要ないよ、風丸」
「俺だけに限定するな！」
「随分と広い家だな」
「君に言われると嫌味に感じる」

　3人で済むのに5LKDとは確かに広すぎる気もするようだが、鬼道はそれ以上に広い家で父と使用人と暮らしているであろうそのためどうにもAからは嫌味にしか聞こえなかったようだ。

「確かに広いけどね。家やけにお客さんが来ること多いから」
「家賃とかどうなってるんだ？」
「おじいちゃんが株やってるの」
「き、器用なおじいさんだな…」
「元々天才肌な人でね。あ、こっちがリビング。洗濯から乾燥まで時間かかるから夕飯用意しようと思うんだけど、食べていかない？」
「いや、でも…」

　タオルを借り、洗濯までしてもらい、更に夕飯までご馳走になるのは3人共気が引けるようだ。

「うちの家訓のようなものに『人はどんな形であれおもてなしするべし』てあるんだよ。だから不法侵入者でもおもてなしするのがうちの流儀なんだよ。―――どんな形であれ、ね」

　人差し指を口元に置き「しーっ」と言っているようにしている。するとやけに家の中が静かになったように感じる。その言葉を聞いて男子たちは生唾を飲み込んだ。

「毒なんて入れないからさ！」

　Aは着替えに二階の自身の部屋へ向かい、しばらくして下りてきてショートパンツに白いTシャツを着てリビングへ入って来た。
　やけに涼し気な格好に、白い肌に生足がスラリと映えている。じっと見ていた男子たちは気まずくなり視線を逸らした。

「飲み物お茶でいい？」
「ああ」

　豪炎寺たちがいるリビングにお茶を持っていくと風丸が「何か手伝おうか？」と申し出てくれる。

「大丈夫だよ、練習で疲れてるでしょ？」
「それはお互い様だろ」
「次は決勝だよ？料理して怪我されてもねぇ…」

　Aの話に鬼道は「そこまで不器用に見えるか？」と少しむっとした様子で言う。それに対しAは笑いながら「もしもだよ」と伝える。決勝前にもしも、料理で怪我をされたら気が気じゃない。