第166話・彼女の強さ ページ27
鬼道のスライディングを交わし、宙に浮いたボールをAが狙う。
「もらった!」
「あっ!」
一之瀬を隙を狙いAが一之瀬からボールを奪った。
(見えなかった…なんてスピードなんだ)
Aの異様な加速に驚いている一之瀬。だが、本人はあっけらかんとして表情をしている。ふと鬼道を見つめると、彼はじっとAを見つめていた。
(彼女のスピードは彼も予想していなかったのか…)
「2人係でやっとかー」と笑顔を浮かべるAに一之瀬は「すごいね、君!」と褒める。
「Aのヤツあんなに速かったっけ?」
「……そうだな」
「よーしっ! 次は俺とPK対決だ!!」
3人に触発された円堂は一之瀬にPKを申し込む。2人がPKをしている間、他の選手たちは別のメニューをこなす。
そんな中、豪炎寺と鬼道はAを見つめていた。
「鬼道」
「豪炎寺か。…九重Aはあんなに加速出来るんだな」
「俺も初めて知った。もしかしたら一之瀬がアイツの本気を引き出したのかもしれん」
「本気?」
豪炎寺の言葉に首を傾げる鬼道。豪炎寺は今まで感じていたAのことを話し出した。
彼女は試合に出ていないにも関わらず、全国大会が始まり尚成長している選手たちと対等に渡り合えている。普段から練習を一緒にしているからと、大会で培われた練度は差が付くはず。だが彼女はその差を全く感じさせるない。それどころか、彼女は彼らより一歩手前を常に歩いている。
「アイツの本気は計り知れない。アイツなら世界を相手にしても渡り合えるはずだ。だが、何故―――」
「弱小と呼ばれたサッカー部に所属し、フットボールフロンティア優勝を目指しているか、ということか」
「ああ」
Aの背を見つめる豪炎寺に鬼道は「フッ」と鼻で笑う。豪炎寺は不思議に思ったのか鬼道の名前を呼び首を傾げる。
「鬼道?」
「いや何、俺を雷門に誘ったお前が分からないなんてな…」
「!…まさか…」
「その、まさかかもしれないな」
彼らの視線はAから一之瀬とPKをしている円堂に向いた。
―――そう。その『まさか』なのである。
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活字不足卍(プロフ) - 工エエェェ(´д`)ェェエエ工 (2022年6月9日 1時) (レス) id: 63abfde266 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:活字不足卍 | 作成日時:2019年7月11日 2時