転生者は、苦悩する Lv.4【イナズマイレブン】 (ページ14)

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第153話・伝えたいことページ14

「そういえば風丸」
「ん？どうした？」
「どうしたって、こっちのセリフだよ。約束のあとに何かあったんじゃないの？」

「……あ、」

　どうやら今の今まで忘れていたようだ。陸上部のこと、試合のことで頭がいっぱいだった風丸。先ほどまでの晴れやかな表情とは一転し、顔を夕陽に染められたように赤くする。

「そ、その…約束を守れたら…聞いてほしいことがあって」
「聞いてほしいこと？」
「…ああ。ただ聞いてほしいだけなのは、理解してほしいんだ…」
「？そりゃあ変なこと言われなければ、何でも話くらいは聞くけど？」

　フットボールフロンティア全国大会を優勝する、という約束を叶えられたら「聞いて欲しい話」があるという風丸。
　彼は―――Aにその想いを告白をしようとしているのだ。
　告白が成功しても、しなくても、付き合えても、断られても彼は一向に構わなかった。今の彼女に寄り添える存在になりたい、と願っている風丸は彼女が決めた相手であれば、納得するつもりでいる。

　つもりでいるだけで、実際は納得などするわけもないのだろうが。

「そ、そうか！そうだよな！はははっ、よし…次はどこだろうな！」

　恥ずかしくなったのか話を逸らした風丸。

「千羽山」
「え？」
「次の対戦相手は千羽山だよ」
「でも、まだ一回戦は始まったばっかりで…」
「うんん、確信がある。次の対戦相手は千羽山中だよ」

　全国大会の一回戦、第一試合であった今日雷門対戦国伊賀島。明日には帝国対世宇子があり、千羽山が出てくるのはまだ先のはずだが、Aには確信があった。勿論、前世の記憶からもそうだが、千羽山の『無限の壁』を考えたら千羽山の一回戦通過は確定されたものでもある。

「次の相手もまた強敵だからね、気を付けてね」
「そうだな。そういえば明日は帝国が一回戦だったな」
「あぁ……そうだね…」
「？ A？」

　Aは風丸から視線を逸らし俯いた。

　明日、帝国学園は大会実行委員会から推薦された中学、世宇子中により圧倒的な大差をつけられ――負ける。