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第027話・選手交代 ページ29

ベンチに戻って来た雷門イレブンはみんな息が乱れ、その場に倒れる者、座り込む者が出た。

「みんな…」
「喋る元気すらないみたい…」

 秋と音無が心配そうに選手たちを見つめる。 陸上部であった風丸も息が上がている。

「どうなってんだあいつら…誰一人息が乱れてないぜ…」
「そりゃあそうさ…奴ら走ってないからね…」

 帝国の選手を見つめ少林が低いテンションで「…僕らずっと遊ばれてるって感じですよ…」と言う。円堂は食い気味に

「くっそ! このまま終わってたまるか! 後半は奴らを走らせて消耗させるんだ!」

 と言うが他のイレブンたちはすでにもうやる気がなくなっている様子だ。

「消耗って…無理でヤンスよ、もうヘロヘロでヤンスから…」
「ああ、俺ももう走れない…」
「何だなんだ、どうした! まだ前半が終わったばかりじゃないか!」
「後半もやるんスか? やるまでもないッスよ…」
「やっぱりこの試合無茶にもほどがあったんですよ…」

 弱気な一年生たちの発言に円堂は渇を飛ばす。

「なに言ってる! まだやるぞ!! 勝利の女神がどちらに微笑むかなんて、最後までやってみなくちゃ分からないじゃないか! そうだろう、なあ! みんな!!」

 そんな円堂の言葉には誰も返事をしない。
 ――仕方ない。

「? A?」

 ベンチから立ち上がりウォーミングアップを始めた私に半田が名前を呼んだ。

「…後半、少林と私が交代するよ」
「何言ってんだ! 女のお前が出たら潰されちまうぞ!」
「そうだ! 無茶だ!」
「無茶かどうかは私は決める。…いいでしょ、円堂? 決定権は冬海よりも君あるだろうから」
「……」

 まともに練習の指示も見にも来ない監督…いや、顧問がそう居てたまるものか。サッカー部の判断はいつだって円堂にある。
 円堂は私の足を気にするように見つめる。

「大丈夫。ちゃんとテーピングもしてるから…試合中ダメなようだったら、引き下がるよ」
「円堂! 辞めさせろ!」
「そうだよ! いくらAが強いからって帝国から一点も返せるわけがないんだ!」

 染岡や半田の言葉は私と円堂には聞こえない。まともに練習をしたことがない一年生は私の実力は知らない。だからこそ、任せていいのか分からずお互い顔を合わせている。
 円堂はニカッと笑って「任せたぜ!」と肩を叩いてくれた。

「…ああ、任されたよ」

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設定タグ:イナズマイレブン , 女主人公 , アニメ沿い   
作品ジャンル:アニメ
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活字不足卍(プロフ) - 書いてる (2022年6月9日 1時) (レス) id: 63abfde266 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - この話好き!pixivでも書いてますか? (2021年1月23日 8時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:活字不足卍 | 作成日時:2019年3月31日 1時

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