転生者は、苦悩する Lv.1【イナズマイレブン】 (ページ27)

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第025話・試合開始ページ27

壁山がトイレから戻ってきてやっと両チーム共整列した。私も一応選手なので控えであっても列に並ぶ。ベンチへ視線を向けると春奈と秋は話しているのが見えた。

「これより帝国学園対雷門中学の練習試合を始めます！」

　主審が声を上げ、鬼道と円堂に先攻後攻のコイントスをしようとすると鬼道は無視するように自身のポジションへ歩き出した。

「鬼道くん！コイントスを！」
「必要ない。好きに始めろ…」

　雷門のグラウンドでやるにしろ帝国はアウェー。それに対し鬼道のあの態度は完全に舐めている。――まあ、実力差は圧倒的なのは事実なのだが。

「挑戦です！これは我が雷門に対する帝国の挑戦です！」
「なんですか、貴方？」
「はい！小生将棋部の角馬圭太！角馬、角馬と覚えてください！そして今日はこの角馬が実況解説を務めさせていただきま…あああぁ！自己紹介をしている場合ではなーい！ピッチでは今まさにボールがセットされ、雷門中学のキックオフがされんとしています！」

　全員がポジションに付く前に邪魔にならないよう雷門ベンチへ戻った私は、秋の隣に座っていた春奈(と言うよりまだ音無と呼んだ方がいいのだろう。)の隣に座った。
　角馬が言うように、染岡、目金のFWがキックオフをしようとホイッスルを待っている。
　人に見られることに慣れていないのか、緊張している一年生たち。

「さて、この試合…どう転ぶかな」
「Aさん楽しそうね」
「サッカーは見るのも楽しい。けど私はやっぱりプレイヤーなんだよね…ウズウズして堪らないよ」

「さあみんな！頑張って行こうぜ！」

　主審がホイッスルを吹き試合が今開始された。
　目金から染岡、染岡からマックスへとバックパスをして帝国サイドへと上がる。マックスからボールを返され、佐久間、寺門のスライディングを交わしてドリブルで更に奥へと進む。

「おお、すごいすごい！染岡見事に帝国を交わしていく！」

「すげーぜ俺！結構やれるんだな！」
「染岡、パスだパス！」

　正面から来た洞面を交わしディフェンスから上がってきた風丸にパスをする。
　風丸に五条が当たり、ノーマークの染岡にボールを返し、更に後ろにいたマックスにボールが渡る。

「…妙だ」
「え、妙って？」

　私が呟くと秋と音無が首を傾げる。