転生者は、苦悩する Lv.1【イナズマイレブン】 (ページ18)

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第016話・運命の巡りあわせページ18

「うちのチームも円堂ちゃんのおかげでまとまってきたよね！」
「いいってこと！俺だっていい練習になってんだからさ！」

　円堂とまこが言葉を交わしている最中、サッカーをしているにも関わらずガラの悪い男二人がフィールド近くを歩いている。

「今度こそ俺が決めてやるぅ！見ろ、俺の必殺シュート！」

　と竜介の蹴ったボールは明後日の方角へ飛んでいき、ガラの悪い男二人の真正面を通り過ぎた。驚きつつも避けた男二人は切れ気味に「誰だこのこいつ蹴ったのッ！」と大きな声を上げる。円堂は慌てて駆け寄っていく。
　蹴った本人の竜介は震える手で私のユニフォームの裾を握る。

　あれれー？これって私動けないぞぉー？

　円堂は腰を低くして頭を下げ、ボールを返すようにお願いをしたが男たちはそんなの聞こえないと言ったように円堂の腹部を殴り跪かせる。その光景から一転、周囲の空気が変わる。
　短ランを着た男がサッカーボールを椅子のようにドカッと座りものにする。

「あれ？雷門中じゃねーの、部員の全然いねぇ弱小サッカー部ですよ」
「くっだらねぇ、ガキ相手に球蹴りかぁ？けへへへっ」

　男は下品に笑う。舎弟の男は、手本を見せてやろうと生きがる。短ランの男は「いいねぇ」と言いながらボールから立ち上がり――

「やってやろうじゃねぇの…」

　ペッ――

　短ランの男はサッカーボールに対し唾を吐き出した。

「ッ…！」
「ッ！！」

　円堂と上から見ている豪炎寺が短ランの男を睨んだのが空気で分かった。
「あ～らよっ！」と雑に蹴られたボールは、唾を吐いたお前の言うことなんて聞くかと言ったように変にカーブをしてまこへと勢いよく飛んでいく。
　それを――

「フッ！」

　勢いよくまこへと向かうボールに高く飛び上がった少年は、ボールを蹴った人物の顔面へと蹴り返したのだ。そして音もなく少年は地面に舞い降りる。
　少年、豪炎寺からボールを受けた短ランの男は気絶してしまったようで舎弟の男が名前を呼ぶが反応を示さない。殴られた腹部の痛みすら忘れるほど円堂は呆気に取られ口が開いている。

「て！テメェ！！」

　喧嘩腰で豪炎寺に対し食って掛かる舎弟の男。だが、豪炎寺に一睨みされ「ヒィッ」と声を上げ、自身より背の高い短ランの男を抱え逃げ帰った。

「ありがとう…！」
「…ふっ」

　まこからお礼を言われ、彼女に微笑みを零しポケットに手を入れ階段を上がろうとする。そんな彼を円堂が引き止めた。