転生者は、苦悩する Lv.1【イナズマイレブン】 (ページ17)

今日:9 hit、昨日:38 hit、合計:266,367 hit

第015話・稲妻KFCの子供たちページ17

「円堂行くよ」
「よし、来い！」
「ハッ！」

　円堂の守るゴール目掛けて勢いよくシュートをするが、彼の反応速度は中々にいいものでポストギリギリを狙ったのだが弾かれてしまった。

「流石だなA！」
「君もね、円堂」

「A！次は俺！俺がシュート撃つ！」
「はいはい」

　頭にバンダナを被った少年、間竜介が私のユニフォームの裾を引っ張って主張する。
　子供たち混ざってサッカーをするのは正直楽しい。勿論、レベルはまったく違う。けれど子供たちは夢中で無邪気にボールを取るためこちらへ全力でぶつかってくれる。とても気持ちがいい。
　私は円堂たちから少し離れて秋のいるベンチにスポドリを飲みに行く。

「どう練習」
「ああ…。正直、練習と呼べるのか怪しいね」
「……そう」
「稲妻KFCの相手をしている円堂はほぼ、ただ働きのバイトと同じだね。経験値がまるで取れない」

　正直なところ、子供相手ではこれっぽっちも経験値にならないのは当たり前だ。かと言って私と円堂ばかりで練習にはならない。私も必殺技はいくつかあるが、今の円堂相手に撃ってしまえば吹っ飛んでしまう可能性がある。

「よーし！次だ！」

　竜介がシュートをしようとボールをドリブルで持ち込んでいると、まこがボールを奪うことに成功。円堂にシュートしてこい、と言われシュートをするが正面のためあっさり受け止められてしまった。

「よーし交代だ！次、亮太と寺坂！」

　円堂に名前を呼ばれ大きな声で返事をする少年たち。
　ふと河川敷の上の歩道を見上げると、白っぽい特徴的な色をしツンツンと逆立った髪をしている少年が目に入る。
　――嗚呼、来たんだね…豪炎寺。

　私が見つめていると、視線が合った。

「！」
「……」

　獲物を見据えるような、獣の瞳をしていたため反らすことが出来なかった。――お互いに。秋に「どうしたの？」と言われるまで彼を見続けた。

「おーい！ A～！そろそろ来いよ！」
「え、ああ…今行くよ！」

　それから亮太と寺坂を交えながら円堂にシュートを撃つ。彼はすべてセーブ、キャッチなどをして防ぐ。シュートが来ない合間、円堂がまこに声をかける。

「まこ！竜介の時のカットいい動きだったな！」

　ドリンクを飲んでいたまこが振り返り「ありがとう！」と笑顔になる。それを見つめる秋も何だか嬉しそうだ。