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st緑


楽屋に入れば目を丸くさせている3人。
無理もない。泣いている北斗を俺が背負っているのだから。

北斗をソファーにゆっくり下ろし、落ち着くように背中をさする。俺の服を掴む北斗の手は震えていた。


「お腹が痛すぎて泣いてる…訳じゃないよね。」


きょもの問いかけに頷くとスタッフさんに撮影時間を伸ばせるか確認してくると言い、楽屋を出て行った。その姿は坊ちゃんではなく、冷静で立派な兄貴だ。

しばらくしてきょもが帰ってきて、機材確認もあって撮影開始が30分遅れるとのこと。そして北斗も落ち着きを取り戻したので、ここで少し話を聞きたい。


「北斗?辛いかもしれないけど、何があったか、教えてくれる?」


子どもに話しかけるかのようにゆっくり、優しい声で問いかける。
目をぎゅっと瞑り、唇を噛み締めながら北斗は小さく頷いた。


「あのね…っ。」


また北斗の手が震え始めた。

その手を優しく包み込んだのはジェシー。赤ちゃんみたいで可愛いけど、包容力のある手だとライブでも話してたっけ。不思議な力がジェシーの手に宿っているのか、北斗の手の震えが止まった。


「ゆっくりでいいよ。ちゃんと聞くから。」


いつになく真面目な彼の言葉に北斗は先程よりも大きく頷いた。

大丈夫だよ、北斗。
ジェシーも高地もきょもも樹も、もちろん俺も。

みんな、北斗の味方なんだから。

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作者名:あんこ | 作成日時:2022年8月7日 19時

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