泡沫 ２

・なかま ページ10

※２０２１年夏設定です



廉side

今年は２年ぶりの有観客ツアー。
やっぱお客さんが目の前におるってええよなぁ。
どんだけハードスケジュールでも頑張ろう、って思える。

「おっはー」

ドラマの撮影を終えて、ライブ会場の楽屋入りするとすでにメンバーは揃っていて、なぜかバタバタしていた。

「あ、れん！ 今やべぇんだよ、しょうが過呼吸なっちまって」
「は！？」

岸さんだけが俺に気付いて返事してくれたけど、他の２人はソファー周辺に集まって、必死に紫耀っぽい人影に声掛けをしている。

「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」
「しょう、ゆっくり息しよう。吸って―…吐いてー…」
「大丈夫だよ、上手く息吸えてるよ」

神宮寺が紫耀の前に座って、呼吸を整えようと頑張っている。
海人は紫耀の背中を呼吸に合わせて擦ってあげていた。

当の本人は苦しそうに下を向いて、肩を大きく上下させてる。
時間的に紫耀も到着したばっかりだったのか、まだジャージ姿で、映画の撮影が終わり珍しく黒髪になっている髪の毛も無造作だった。


「俺なんかドリンク買ってくるわ！！！」

岸くんが楽屋を急いで出ていこうとするから、俺もあわてて荷物を放り投げて付いていく。

「急に過呼吸なっちゃったん？」
「あぁ、しょうもさっき着いたとこで、ちょっとしんどそうだな思ってたら、急にはぁはぁ言い出してさ」
「そうやったんか…。しょおのスケジュール、今えぐいもんな」

今の紫耀の鬼スケジュールはヤバい。ほんまに。
身体強い俺でも体調崩しそうなスケジュール。
寝る時間あるんかな、あいつ…ってか眠れてるんかな。

俺らは廊下のちょっと行った所にある自販機ではちみつレモンを買う。
…紫耀、喉弱いし、ライブ前やしな。

ちなみに岸さんのおごり。(笑)

「なぁー、ほんとえぐいよな。今日のライブいけるかな」

岸さんが心配そうに、分かりやすく眉毛を下げる。
たしかに、過呼吸って結構体力使うし、そもそも過呼吸起こすほど精神的に不安定ってことや。

とりあえず俺らは急いで楽屋に戻った。

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