おいで、恋愛しようか『LIP×LIP短編集』

甘えたがりサイレント。『愛蔵』 ページ37

「........」







死んだ。
空は何処を見ても雲だらけで今にも雷鳴を轟かせようとしている



睨んでも雲は怯まない、終わった









「はぁ.....」






変な強情張るんじゃなかったな......



もっと可愛く甘えられて、本音を言えたら愛蔵にだってこんなに冷たくされないのに



はぁ、と溜め息を着くとついにやって来てしまった天災









ゴロゴロ......




「ひっ......！？」




地響きが起こりそうな程のこの音が怖くて怖くてたまらないのに



人肌が欲しいのに








「..........っ.....」




......今一番来てほしい人は、居ない





「.......愛蔵...ごめんなさい.....」









だから、帰ってきてよ.....




三角座りで肩を抱くと









.









「A、大丈夫か？」






顔を上げると息切れをしている愛蔵




予想外の登場に驚きを隠せない









「....えと......遅いんじゃ......」






そう言うと彼は溜め息をついてベッドに腰かけた



「阿呆。俺がAをほっとくわけないだろ」









思いっきり抱き付いた




愛蔵の着てたジャケットが少し雨で濡れていて冷たいけど。何でか暖かい









「.....っ...愛蔵....」



「居る。居るから.........
悪い、怖かったな」







首を横にふった


その矢先に落ちる雷





「.....っ！.....ひ.....」



「大丈夫だって。ほら泣くな」









恐怖をまぎらわそうと強く抱き付くと愛蔵も強く抱き返してくれる



「うーん............そうだ。A、顔上げられるか？」




「？....んっ...！」







抱き締めたまま愛蔵が私にキスした







「ん......ぁ....ふ........」




恐怖をかき消されるように、深い深いキスをされて、ゼーゼーという乱暴な息になっても愛蔵はキスを止めない







「ん.....は.......ぁ...」





やっと解放されて。すぐ頭をぽんぽんされた







「よしよし、取り合えず大丈夫だな？」



「うん.....ありがと」





ほんと、涙とか震えとか止まってる









ふと視界に広がる愛蔵の肩を見た






私達身長差があるので自然と耳に愛蔵の首が当たる




そこから静かな呼吸音が聞こえてくるのが愛蔵の存在を証明してくれるようで



何だか嬉しくなるのだ









ふふ、と笑って首に手を回して顔をくっ付けると愛蔵がﾋﾟｸｯとする









「ん、どうした。まだ怖いか？」







ううん、と首を振ると愛蔵は優しく笑って私の頭にキスを落とした









外で雷鳴が、止んだ気がした

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