Notes【短編集】

バイト終わり：天月 ページ16

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　バイト終わり、は、と息をはいたら真っ白な息が口から漏れ出る。寒いなぁ。

　「さむ…。」

　飲食店でアルバイトしてるからバイトが終わるのが遅くて人もいなくて寒くて仕方ない。同じバイトの人とお疲れ様、なんて声をかければ帰る方向も違うから１人。

　「Aー、お疲れ様。」

　「え、なんでいるの。」

　やっほ、とマフラーを巻いた幼馴染の天月。家は近所でバイトが夜遅くに終わるのも知ってるけどなんでいるの。

　「え、丁度コンビニに用事あったからAいるかなって。」

　「…迎え来てくれたの？ラインくれればいいのに。いないかもしれないのに。」

　可愛くないこと言ってる自覚はあるけど、いつもこうだし天月も分かってるから別に何も言ってこない。この関係性が一番楽だったりするよね。

　「はい、肉まんあげる。」

　「太る…食べる。」

　肉まんを歩きながら食べつつ横を歩く天月をチラ見する。小さい頃から見てきたけど、カッコいい顔立ちしてるよなぁ。


　「最近特に帰り遅くない？」

　「ずっとラストで入ってた人が辞めちゃったから代理。よく知ってるね？」

　「…まあそりゃ家隣だし。」

　それもそうか。私も夜とか朝とか天月の家の音聞こえるもんね。出入りしてる音とか結構部屋が天月の家側だし良く聞こえる。

　「夜暗いし、遅いと危ないからたまにこうやってコンビニついでに覗きに来てあげる。」

　「…何それ。」

　「いいから素直に甘えときなよ。」

　「…ありがと？」

　「どういたしまして。」



　優しい幼馴染との帰り道。

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