君をさがしてた。episode3 …2 (ページ33)

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『“消えろ”』

『“ころしてやる”』

『“……”』

『“しぬまで追い詰めてやる”』

一昨日の夜から突然私の携帯や固定電話にかかってくるようになった無言電話や悪戯電話。

いつも同じ女の人の声で、最初は誰だかわからなかったけど、数回聞くうちに確信した。

百合根さんだ…。

直人「A～そろそろリハ行くよ」

「…はーい。」

メンバーにこの事を言うかどうか迷った。
とはいえ変な電話がかかってくるだけだったし、毎日のように私の家に泊まりに来てくれたりして私の事を気遣ってくれるメンバーにこれ以上心配かけるのは嫌だった。

pipipiー…

先ほどの電話からそれほど感覚を開けずして再び非通知からコールが鳴る。

「……」

別に出なくても良いんだけど。
そう思いつつも通話をタップする。

『“………”』

電話の向こうは無言。

「百合根さん、ですか？」

いつもならわりとすぐ通話が切れるのに、今回は
長めの無言が続き、ついそう言葉をかけていた。
すると、

『“…あなたの大切なもの全部、壊してやる……”』

今までで一番低く、狂気に満ちた声で言われ通話が途切れた。

「っ、」

怖い。

まだ私に対する脅しの電話だけなら耐えられる。
でももし私の大切なもの…仲間に手を出されたら、どうなるかわからない。

健二郎「A？」

廊下の隅でスマホを握りしめてる私のところに、ジャージ姿の健さんが寄ってきて。

健二郎「どうしたん、今日顔色悪いで？」

私の背中をさすろうとするのを一瞬躊躇う、優しい手。

半年のうちに大切になっていたこの人との関係も壊されてしまうの…？
そんなの耐えられない。

「っ、健さん…、」

健二郎「！？、どうした、何があったん？！」

大丈夫、私には皆がついてるし、強い思いもある。
そうやって気丈に保っていたものが突然不安に包まれてきて。

ボタボタと涙を流し始めた私に驚く健さん。

「わか、ない…こわい、……」

皆がいれば過去を晒されるくらい、どうってことないって思ってた。
私は私のままでいつも通りやって行こうって思ってた。

でも百合根さんの、あの狂気に満ちた言葉を聞いたら…

大切なものを壊されるのがこんなにも怖い。

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