君をさがしてた。episode3 …2 (ページ20)

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月刊の撮影終わり、俺は約2ヶ月ぶりにあの居酒屋に来ていた。

(くそ…っ)

いくら酒を飲んでも、昼間見たAの笑顔が頭を離れない。

今までずっと抑え込んでいたのに。
一瞬で心を奪われた。
あんな幸せそうな笑顔を向けられて平気なわけがないだろう。

初めて間近で見た彼女の笑顔は、心揺さぶるほどに綺麗だった。

撮影が終わった瞬間真顔に戻る彼女にどうすれば良いかわからなくて思わずスタジオを出たが、本当は俺もAを抱きしめたかった。

他のメンバーと同じように、あの小さくて柔らかくて、今にも壊れそうな身体をこの腕で…

(今さら遅ぇんだよ…)

グラスを力一杯握りしめて自分に言い聞かせる。

それはAに対してなのか…
それとも気持ちを抑えられそうにない自分に対しての気持ちなのか、

俺の脳内にもう一人の女の顔が浮かんでくる。

『もし貴方の心があの子に動いてるなんて事になったら…私があの女を破滅させてやる。

私には切り札があるんだから』

Aとは違う、純粋さが微塵もないような薄気味悪い笑顔。

切り札ってなんだ。
Aを破滅させるって、何をする気なんだ。

…俺自身が Aをどうしたいのかわからない。

でもなんとなくAが俺以外の誰かに傷付けられるのは我慢ならない。
許せないんだ。

今回の事でもし、Aがあの幸せそうな笑顔を失ってしまうような事になったとしたら、俺は罪悪感に押し潰されるだろう。

(なんとしてでも百合根を止めたい)

Aを囲う脅威を拭わなくては。

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