君をさがしてた。episode1 (ページ38)

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pipipi…

突如静かな空間に鳴り響く着信音にELLYは慌てて通話を押した。

ELLY「もしもし」

健二郎『もしもしELLY、今どこにおるん？』

電話の相手は健二郎だった。

ELLY「今Aのマンションにいる…」

健二郎『は！？Aの家ってこと？』

ELLY「うん、あれからA全然起きなくて。今AKIRAさんも一緒にいるんだけど」

健二郎『……俺も行く。』

ELLY「はっ？！なんで？」

健二郎『ええやん！住所おしえて！』

ELLY「いやちょっと…」

アキラ「代わって？」

隣にいるAKIRAにも聞こえるほど大きな声の健二郎。ELLYが困っていると、AKIRAがひょいっとその携帯を取り上げた。

アキラ「もしもし健二郎くん？俺だけど」

健二郎『あ、お疲れ様です…』

アキラ「悪いんだけどこっち来るときかぜ薬とゼリーかなんか買ってきてくんない？住所はメールで送るわ」

健二郎『え？あ…はい。はい！買ってきます！すぐ行きます！』

アキラ「じゃあ頼む～」

ピッ

通話を切ってELLYに返す。

ELLY「いいんですか…？」

アキラ「えー何が？」

ELLY「A多分、健二郎さん家にあげるのあんまいい気しないと思いますけど」

Aにとって健二郎は三代目メンバーの中でも特に苦手な相手、まさに天敵のはずだ。そんな彼を勝手に自宅に招き入れたとなれば、Aがどういう反応をするのかは大体予想がついた。

アキラ「まあな。でも正直ELLYを入れちまった時点で怒られるのは確実だから。AにとってELLYも健二郎もそう変わらない。」

きっぱりとそう言い切ったAKIRA。
最近になってやっと2人で食事に行くことが出来て、他のメンバーよりは少し仲良くなれたと思っていたのに、Aに親しいAKIRAにそう言われたことがELLYにはわりとショックだった。

アキラ「大木さんに電話でちょっと聞いたんだけど、色々って何があったの？」

いつもと変わらない調子で、でもELLYの目をしっかりと見て訪ねてきたAKIRA。Aのことを大事に思っているAKIRAにメンバー同士のいざこざとも言えるトラブルを話すのはなんだか告げ口のようで少し気が引けたが、何かあると知られてしまった以上隠しているわけにはいかない。

ELLYは自身も怒られる覚悟を決め、今日起きたことを洗いざらい話した。

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