たぶん、夢。 (ページ22)

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▽

「Aさん、「翔平」って下の名前で呼んでくれます？」

なんだ急に！？と
驚きとドキドキが同時に来て、心臓を握り潰された感覚に陥った。

顔が熱くなるのを感じながら、咄嗟に

「えっ…！？え？いや、呼ばない！大谷くんでいい！」

と答えてしまった。

食い気味に答えてしまったので
名前を呼ぶのを嫌がってると思われてしまったかもしれない。

(そりゃ、大谷くん下の名前教えてくれてなくて
ちょっと寂しいなぁ、とか思ったりしたけど！

別に下の名前で呼びたいとかじゃなくて！

てかグイグイくるな！？
今時の若い子はこれくらいグイグイくるもんなの！？

男性経験皆無のオタクには、分かんない！！)

一人でぐるぐる考えて、ふと我に返って
反応のない隣を見てみると…

大谷くんも
私と同じくらい顔を真っ赤にしていた。

(自分で言ってて赤くなってる…！)

お互い無言のまま、家の方まで歩いた。

。

家の近くだと気づき
私は大谷くんに声をかけた。

「私の家ここなんだ。
送ってくれてありがとう…しょう、へい、くん。」

(あ、待ってやばい。
言えない、言えないわ、寿命が縮む。)

心臓が持たないのを感じて、
もう下の名前呼びは封印することにした。

「心臓がやばいので、大谷くんって呼びます…。」

恥ずかしくて俯きながらそう言うと

「そうですね…ちょっとまだ保留にしといてください。」

と言ってぎこちなく手を振り、別れた。