東北遠征 ページ16
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「「おねがいしゃーす！！」」
宮城で鬼のようなスケジュールに追われる中、待ちに待った決戦の日が訪れた。
因縁の相手、烏野高校。
お互いゴミ捨て場の決戦の話を耳にタコができるほど聞かされているようで、緊迫した空気で両校体育館の前で整列し、主将の掛け声とともに挨拶をする。
しかし、そんな緊張感の中、私は目の前にいるとても綺麗な黒髪の女の子に、烏野にもマネージャーがいたのかと内心テンションがぶち上がっていた。
「私、一条A！よろしくね」
「うん。よろしく」
美しすぎる微笑みを浮かべて、「清水潔子」と名乗る彼女。
まさに名は体を表しているという言葉の通り、透き通った白い肌に、黒目がちな目が際立っていた。
「Aちゃんって呼んでいいかな…？」
「もちろん！
私も潔子ちゃんって呼ばせてもらう！」
そんな潔子ちゃんの鈴のように美しい声を聞いていると、ふと見慣れた目つきの悪い男と目が合う。
「お、やっぱり烏野だったんだ」
そう笑って手を振れば、その男はポカンとした顔から一変し、いきなりズンズンと恐ろしい顔で近づいてきた。
「半年ぶりだね、飛雄ちゃん」
「っ、なんでAさんがここに…！！」
あれ、そんな怒る？ここは喜ぶところじゃないの？
飛雄は相変わらず怒りん坊だな〜とヘラヘラ笑えば、驚いたように潔子ちゃんが知り合いかと聞いてくる。
「幼馴染の中学の後輩」
「なんで言ってくれなかったんスか！」
潔子ちゃんに、まぁ結局友達！と丁寧に応答していると、まだ眉間に皺を寄せたまま、Aさん！と何度も話しかけてくる飛雄。
「飛雄の驚く顔が見たくて」
びっくりした？と期待いっぱいで飛雄に言うと、飛雄はグッと言葉をつまらせ、諦めたように…はいと言って降参した。
「っねねねね、音駒だったの！？」
突如上がった驚きの声に、ビックリして後ろに振り返れば、研磨とオレンジ頭の子が何やら盛り上がっている。
研磨が初対面の子とあんなに話してるなんて…！と感動していると、そんな感動を他所に虎と烏野の人が揉め出すのを見て、私は急いで鎮圧に向かった。
◇
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作者名：西川あや | 作成日時：2022年10月7日 1時
