はじまり ページ1
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高校生活に胸を膨らませていた二年前。
時間が過ぎるのはあっという間で、新品だった制服はすっかり体に馴染んでいる。
「Aー！そろそろ行きなさい！」
1階からそう呼びかける母に、私は大きな声で返事をして、勢いよく階段を駆け下りた。
「今年も黒尾くん達と同じクラスだといいわね」
「あ、今年は黒尾たち理系だから違うクラスだよ」
かなは文系だから一緒だといいなーと考えながら靴を履き、私はお母さんに行ってきますを言って今日も元気に家を出た。
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…はずだった。
「なぁんで私だけボッチなの！！」
クラス分けが張り出された掲示板の前で、私は一人項垂れる。
ポンっと肩を叩かれて横を向けば、哀れ…と呟きながら泣いたフリをする黒尾と、そのクズの隣には特に興味なさそうに携帯をいじる研磨。
「おっ俺、夜久と一緒だ」
そう白々しい表情で話す黒尾に、もし一発殴ってやろうと構えるも、海がおはようと爽やかに登場してきたので私は大人しく手を下げる。
「佐倉さんと渡辺ともクラス別れちゃったのか？」
「うん…」
佐倉さんとはかなのことで、一年生からの短い付き合いではあるが、私の良き理解者で親友だ。
渡辺についての説明など特にないが、サッカー部で、学校中の女子からイケメンだなんだともてはやされてて、清楚な彼女までいるという、なんとも忌々しいリア充野郎というくらいか。
「…海はあおいと同じクラスだよ」
「うん、さっき見た」
渡辺に怒られそうだなぁと心配する海に、結局あの二人最後まで同じクラスになれなかったねと笑うと、研磨がそそくさと離れていくのが見える。
少し人が増えてきたからかな…と大人しく見送っていると、ゲッソリした顔の先生が目の前に現れた。
「っせ、先生」
おはようございますと去年の担任でもある小林先生に挨拶すると、今年もよろしくな一条と握手を求められる。
まさか今年もコイツが担任なのか…と身を引いていると、早速私は教室に連行され、スカートの長さや指定のカーディガンを来てこいなどと散々説教を食らった。
「なんで私だけ！」
「また猫又先生に言うぞ」
「…そ、それだけは勘弁してください」
◇◇
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作者名：西川あや | 作成日時：2022年10月7日 1時
