078 安堵 ページ28
猫又監督と直井コーチにも先ほどと同じことを説明した。
一応研磨くんの心のケアを最前線に考えて注意と説教を、ということだ。
研磨くんは他の子たちに囲まれてお話しているみたい。
相当心配されていたんだろう。
「ほんと、Aさんいなかったらどうなってたか……」
「私もゾッとするわ」
研磨くんを見ながら黒尾くんと話していると、こちらに気が付いた。
今まで座っていた彼が、立ち上がって駆け寄ってくる。
「Aさん、ありがとう」
「いいえ、あんまり皆に心配かけちゃダメだよ」
「うん、気を付ける」
「だって、黒尾くん」
「とりあえず歩きながらゲームすんのやめろよな」
「……うん」
「何だ今の間は」
なんて彼らと話しているうちに時間は近付いてくる。
最後に彼らを見送って、仙台駅を出発しよう。
彼らを見送った後、車に乗って武田先生に電話をする。
今から戻りますと伝え、エンジンをかけた。
そこからは特に道が混んでいるわけでもなく思ったより早めに到着したが、それでも烏野の皆を待たせてしまった。
なんなら、軽く近くを探してくれていたみたいだった。
車を駐車場に停め、走って宿舎に入る。
「すみません、今戻りました!」
「あっ佐藤さん、おかえりなさい! お疲れ様でした」
「お疲れ様、1人で全部任せちまって悪かったな。ありがとう」
皆がいる部屋へ行くと、丁度ミーティング中だった。
必要以上に勢いよく入ってしまい、皆の注目を集める。
だが、白い目で見られることもなく、温かい言葉で迎えてくれてホッとした。
私も一番後ろの席に座って話を聞いたが、もう最後の最後だったらしくすぐ解散となった。
部員たちが使った宿舎を軽く掃除している間に、私は先生方にこれまでの経緯を説明した。
「そうか、不審な男がいたのか……」
「とりあえず、佐藤さんも音駒の子も無事でよかったです」
「ああ、そいつが何もされなかったのも無事帰ることができたのも全部佐藤さんのおかげだな」
そう優しく言ってくれる武田先生と烏養さん。
その言葉が私の今までの緊張と不安を全部解きほぐした。
「……あ、ありがとうございます」
「おいおい、泣くなよ」
「だ、大丈夫ですか?!」
そうやって優しくされると泣いてしまうの。
烏養さんが笑いながら私の頭をポンポンと撫で、さらに涙が溢れた。
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ぴえん - めっちゃおもろくてもうとにかく好きです。ー日本語が変なのは気にしないでくださいー (2020年8月3日 10時) (レス) id: 243282b2cc (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - しらすパンさん» ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。頑張ります! (2020年5月31日 23時) (レス) id: c8d57ac98d (このIDを非表示/違反報告)
しらすパン(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました!!続き楽しみにしてます!更新頑張ってください! (2020年5月29日 21時) (レス) id: d0609b57e9 (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - みずきさん» ありがとうございます。今この時世ですからね、お互いステイホームで頑張りましょうね! (2020年5月17日 19時) (レス) id: c8d57ac98d (このIDを非表示/違反報告)
みずき(プロフ) - コメ失礼いたします!一からすべて読ませていただきました。とてもおもしろかったです!体調に気をつけて更新頑張ってください。応援しています!(*´∀`) (2020年5月17日 0時) (レス) id: bace071e6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西 | 作成日時:2020年5月16日 21時