同胞 ページ36
取り敢えず、中に入れてもらい、詳しい話し合いをする事になった。
「ふーん。
で、QUEENさんはS-A側に寝返ったと。」
「そうよ。
Aちゃんも凄い経歴ね。
総理の隠し子なんて、、、。」
「別に凄くも無いよ?
産まれて直ぐに、施設に入れられたみたいだし。」
「何でそんな事知ってるの?」
「何でって、養子だって事は、今の両親に知らされてるから。」
成程。
でも、疑問が残る。
何故、彼女の暗殺を、ボスは依頼しなかったのだろう。
その方が、トランパーにとっては都合がいい筈。
他にも引っ掛かる部分が。
S-Aは、トランパーに居る暗殺者全員を殺す計画を、ボスが考えていると言っていた。
確かに、あの人ならやりかねない。
なら、何故S-Aを未だ殺さないのか。
S-Aも、抜ける前はトランパーの暗殺者だった。
その時から、計画はやり始めていただろうに。
なのに、未だその命令は出ていない。
何か見落としている気がする。
何を見落としている?
総理の存在か?
いや、違う。
なら、この子自身か?
それも違うな。
何にせよ、S-Aが掴んだ裏事情には、穴が多すぎる。
このままでは、本当に誰かが犠牲になりかねない。
早いとこ、ボスが考えている計画全部を、暴き出さねば。
「どうしたの?
そんな難しい顔して?」
「ん?
何でもないよ。」
ニコッと笑ってみせるが、それが逆に怪しまれた様だ。
「嘘。
何か考えてたでしょ?
トランパーの事?
それともS-A皆の事?」
勘が鋭いな。
「違うよ。
いや、S-Aの事は考えてた。
皆カッコいいなぁって。」
嘘だと言わんばかりのジト目で見られる。
「本当だよー?」
まあいいけど、そう言うと、宿題を出してやり始める。
興味が逸れて良かったと、ホッと胸を撫で下ろした。
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作者名:童子 | 作成日時:2019年11月3日 17時