検索窓
今日:17 hit、昨日:25 hit、合計:7,641 hit

ページ17




もう夜が明けそうな頃。
体の奥が妙に熱いことに気がついた。

喉の痛みだけだと思っていたのに、
今は全身がだるくて、力が入らないような。

指先まで重く感じて、
息をするたびに胸の奥が熱を帯びていく。


あの後、いつの間にか意識が微睡んで眠りにつき。
喉の痛みで熟睡はできなかったけれど、うとうとと過ごしていた。
小さな寝息を立てる紫耀を感じて、
どこか安心して過ごせて。



『……熱、あるのかな』

自分の額に手を当ててみる。
火照った肌の感触に、はっとして目を閉じた。

まるで体の中で小さな炎が燃えているみたい。
体の芯が熱を持っているのに、
背筋がぞくぞくして寒い。

ブランケットを肩まで引き上げても、
震えは止まらなかった。

喉の奥が腫れているのがわかる。
唾を飲み込むたびに、涙が溢れてきて。

苦しくて、怖くて、
でも…紫耀を起こしたくなかった。


『……大丈夫、だから』

誰に言うでもなく、小さく呟いてみる。
そう。きっと大丈夫。
紫耀に心配をかけるほどじゃないし。



でもふと。


“ただの風邪じゃないかもしれない”と思って。


その考えが頭をよぎった瞬間、
胸の奥が冷たくなった。




もしも、紫耀に移してしまったらどうしよう。
忙しいのに、無理をさせてしまったら。
変な病気とかだったらどうする?

昨日まで普通に笑っていたのに、
私のせいで何かを壊してしまう気がして怖くなる。




『……ごめん、紫耀……』


かすれた声が、
暗い部屋の中に溶けていく。





ベッドの隣では、
変わらず紫耀が静かに寝息を立てていて。
その穏やかな呼吸の音が、
罪悪感と安心のどちらにも聞こえて、胸が締めつけられる。


本当は起こして縋りたい。
この痛みを、ただ「大丈夫だよ」と包んでほしい。

けれど…、
手を伸ばしたらきっと、紫耀にこの熱が伝わってしまう。



だからただ、布団の中で小さく丸まった。
寒気がするのに、熱くて苦しい。
喉の奥がうずくたび、涙が滲んで。


どうしてこんなに、
身体が言うことを聞かないんだろう。
どうして、紫耀の優しさを素直に頼れないんだろう。


息を整えようとしても、喉がひりつく。
目の奥が熱くて、頭がぼんやりしていく。




ちゃんと起きたら謝らなきゃ。

『大丈夫』って嘘をついたことも。
心配をかけたことも。
紫耀の優しさに気づいていながら何もできずに強がったことも。



せめて朝日が昇る頃には、
ほんの少しでも痛みが静まっていますように。








・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (11 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
21人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Pino | 作成日時:2025年10月30日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。