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左手の先に、
痺れのようなピリピリとした感覚が走った。



……なに、これ……?


「…っ…んっ……」


気づけば、腕全体に力が入らなくなってきていた。


そのままリビングまでなんとか歩いたけど、
ソファに座ろうとして崩れ落ちる。




『っ紫耀!?』


慌てて駆け寄ってきたAの顔が、少し滲んで見える。


「……A……ちょっと、変かも」


体に力が入らなくて。
頭がぼんやりする。


そして手足が、
次第に痙攣のようにピクピクと震え始めて。


ダメだ、これ……本当にまずいやつだ。


だけど、声が出ない。
Aが必死に何かを呼びかけてくれてるのは分かるのに…
その声だけが、遠く感じていく。


それから先のことは、あんまり詳しく覚えていない。













目の前で、
紫耀の体が崩れるようにソファに沈んだ。

その姿はあまりに無防備で。


『っ紫耀!?』


呼びかけても、反応が鈍くて。
いつもなら「大丈夫」って笑ってくれるくせに、

今日は……何も言わない。



その手を取ると、
どこか強張っている感じがした。


そして…

びくっ、びくっ、と。


まるで小さな痙攣のように、
指先が勝手に動いていた。


『……これって、嘘……でしょ?』


紫耀の目は何かを伝えようとしていたけれど…
意識はゆっくり遠のいていくみたいだった。


怖い……

本気で怖かった。
さっきまでは、会話していたのに。
“軽い胃腸炎”って、言われて安心してたのに。


これって…変だよね?

まるで脳のどこかが警報を鳴らすみたいに、
全身の神経がざわついた。

私の手の中で痙攣している紫耀くんの手。
あまりにも弱々しくて、消えてなくなってしまいそうで。


『もう一回、病院行こう?ね、頑張って……!』


そう声をかけながら、バッグを探る手が震える。

救急の連絡先、診察券、保険証…
何かを取り出すたびに手が滑って、落とす。


だめ、私まで取り乱しちゃ……

深呼吸して、一度瞼を閉じる。


私がしっかりしなきゃ。
そう思うのに、胸が苦しくて、涙が込み上げてきそうだった。



だって紫耀が、こんなに弱ってるなんて…
1人にしないでよ…


『紫耀、大丈夫。大丈夫だよ……すぐ、行こうね……』


私の言葉に、
ほんの一瞬、かすかに動いたまつげ。

それを見た瞬間、少しだけ勇気が出た。


抱きかかえるようにして体を起こしながら、
私は心の中で何度も何度も祈った。



どうか、無事でいて⸻














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Pino(プロフ) - momoさん» コメントありがとうございます💕お気に入りと言っていただけて光栄です!!毎日読み返してくださっているんですか😳ありがとうございます😭 #7公開、もう少々お待ちください💦 (8月14日 17時) (レス) id: 19cca15044 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - #6おつかれさまでした!どのお話もお気に入りです♡毎日読み返してます☺️#7も楽しみにしてます! (8月14日 10時) (レス) id: b62c2f6570 (このIDを非表示/違反報告)
Pino(プロフ) - わんこさん» なんて嬉しいことを🥺ありがとうございます!!病気は、なかなか周りから理解が得られなかったり違う受け止められ方をされていたりすると、孤独で苦しいものだと思うので…。できる限りリアルで、正しい描写ができるように心がけています✍️ (8月10日 23時) (レス) id: 19cca15044 (このIDを非表示/違反報告)
わんこ - なんでこんなにリアルに書けるんですか⁉すごすぎます!続き楽しみにしてます(^▽^)/ (8月10日 16時) (レス) id: 7371aa6456 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Pino | 作成日時:2025年8月2日 23時

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