Episode91:胃腸炎2 Sho * ページ41
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二人で過ごすリビング。
そこにはぬるい空気が流れていた。
紫耀はさっきからずっと、
ソファに座ったままスマホをいじっている。
仕事のことなのか、それともただくつろいでいるのか。
真剣な表情からはあまり分からない。
でも…
何かが、ちょっとだけおかしい気がした。
『……ねぇ、紫耀?』
呼びかけると、
一瞬だけ顔をあげていつも通りの笑顔を向けてくれる。
「ん、なに?」
『……なんでもない』
気のせいかもしれない。
そう思って自分に言い聞かせる。
だけど…。
さっきから、紫耀の顔色が悪い気がする。
目の下のクマも少し濃いし。
口数は普通。
でも笑った時、目がちょっとだけ笑ってない。
なんだろう。
うまく言えないけど、違和感。
夜、ベッドに入ったあともそれは続いた。
何度も寝返りを打つ音。
そっと覗いてみたけど、紫耀の寝息は浅くてあまり眠れていないみたいだった。
そのうち、ベッドからすっと立ち上がる気配。
……トイレのドアの音が小さく響く。
1度目はたまたまかと思った。
でも、2度目、3度目と続くうちに、胸の奥がざわつき始める。
『紫耀……大丈夫?』
「……うん。ちょっとお腹、冷えちゃっただけ」
背中越しに返ってきた声は、
どこかしんどそうで。
けど、本人は“大したことない”って笑って見せようとしてる。
『……それ、ほんと?』
「うん。大丈夫」
信じたいけど、信じられない。
私の計算では4回目。
やっぱり心配が勝って…冷蔵庫に常備してあるスポドリをコップに注ぎ、廊下でそっと待ってみた。
するとトイレから戻ってきた紫耀が少し驚いた顔をした。
「……起きてたの?」
『うん。お水、飲んだ?』
「飲んでないけど……あ、ありがとう」
コップを受け取る手が、少しだけ震えていた。
『……やっぱり、なにか変。…紫耀』
私の小さなつぶやきは、彼の耳に届いたのか届かなかったのか。
紫耀は「うん」とも「違うよ」とも言わなかった。
ただ、黙って水を飲み干してまたベッドに戻った。
それがやっぱり、
私の違和感を助長させているんだけどな。
私も黙ってその背中を見つめていたけれど。
その背中が少し小さく見えた気がした。
『言ってくれればいいのに…』
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この後00時から「未確認領域」のMV公開ですね♡
公開を待ちながらお話が書けたので、一つ!
明日また、一つ更新できるかな?と思っています💪
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Pino(プロフ) - momoさん» コメントありがとうございます💕お気に入りと言っていただけて光栄です!!毎日読み返してくださっているんですか😳ありがとうございます😭 #7公開、もう少々お待ちください💦 (8月14日 17時) (
レス) id: 19cca15044 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - #6おつかれさまでした!どのお話もお気に入りです♡毎日読み返してます☺️#7も楽しみにしてます! (8月14日 10時) (
レス) id: b62c2f6570 (このIDを非表示/違反報告)
Pino(プロフ) - わんこさん» なんて嬉しいことを🥺ありがとうございます!!病気は、なかなか周りから理解が得られなかったり違う受け止められ方をされていたりすると、孤独で苦しいものだと思うので…。できる限りリアルで、正しい描写ができるように心がけています✍️ (8月10日 23時) (
レス) id: 19cca15044 (このIDを非表示/違反報告)
わんこ - なんでこんなにリアルに書けるんですか⁉すごすぎます!続き楽しみにしてます(^▽^)/ (8月10日 16時) (
レス) id: 7371aa6456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Pino | 作成日時:2025年8月2日 23時


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