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翌朝。
長椅子に座る紫耀の隣で、
Aはマスクをしてうつむいていた。
急に上がった熱。
関節の痛み。
少し話すだけで、喉も身体もひりひりする。
それでも、病院独特の空気や「検査」って言葉に、
どこか落ち着かない気持ちを隠せないでいた。
紫耀が、ちらりと横目で彼女を見つめる。
「A、ちょっとこっち寄って」
声をかけると、Aはゆっくりと体を寄せる。
紫耀はAの肩を包み込むように、
自分の腕の中にそっと引き寄せた。
『……なんか、ごめんね』
せっかく休みだった紫耀を病院に付き添わせていることに、罪悪感が募る。
これで紫耀に移してしまうなんてことになったら…
「んー？謝らないで」
紫耀はそのまま、Aの額に手を当てる。
「やっぱ熱ある……けっこう高いよ。身体、痛いでしょ？」
こくんと、小さく頷くA。
『……関節が痛いのって、インフルっぽい…よね』
「うん。可能性はある。でも大丈夫。俺がちゃんとそばにいるから」
その言葉に、Aのまつげがゆっくりと揺れる。
小さな手が紫耀の服の裾をきゅっと掴んだ。
『……検査、やだなぁ』
その呟きは、ごく小さな声で。
「嫌」ってわけじゃない。
「我慢する」とも言わない。
ただ、心の奥の素直な気持ちがぽつんと零れ落ちたような声だった。
紫耀はその声を逃さなかった。
「……だよね」
その一言だけで、
全部を受け止めてくれるみたいな紫耀の返事。
そのまま、彼の手がそっとAの手に重なる。
「検査は一瞬だし、痛くないよ。でも、分かる。俺もやだもん」
『……紫耀も、？』
「うん。大人になっても、検査はやだ。看護師さんが優しくしてくれても、“早く終われ〜”って思わない？」
Aは、くすっと微笑んだ。
熱のせいでぼんやりしていた顔に、少しだけ柔らかな光が戻る。
『……なんか、ちょっと元気出たかも』
「ほんと？よかった」
紫耀は微笑んで、
Aの手をもう一度、ぎゅっと握りしめた。
「Aが我慢強いの、知ってるよ。だからこそ、頼ってくれるのが嬉しい」
『……ちょっとだけ、ぎゅーってしててほしい』
「……もちろん！」
周りの音が少しだけ遠くなる。
人目なんてどうでもよくなるくらい、
その瞬間の彼女は、とても小さくて、愛おしかった。
紫耀はただ静かに、
優しくAの体を抱き寄せた。
「すぐ終わるよ。俺、ここにいるから」
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Pino(プロフ) - momoさん» コメントありがとうございます💕お気に入りと言っていただけて光栄です！！毎日読み返してくださっているんですか😳ありがとうございます😭 #7公開、もう少々お待ちください💦 (8月14日 17時) (
レス) id: 19cca15044 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - #6おつかれさまでした！どのお話もお気に入りです♡毎日読み返してます☺️#7も楽しみにしてます！ (8月14日 10時) (レス) id: b62c2f6570 (このIDを非表示/違反報告)
Pino(プロフ) - わんこさん» なんて嬉しいことを🥺ありがとうございます！！病気は、なかなか周りから理解が得られなかったり違う受け止められ方をされていたりすると、孤独で苦しいものだと思うので…。できる限りリアルで、正しい描写ができるように心がけています✍️ (8月10日 23時) (レス) id: 19cca15044 (このIDを非表示/違反報告)
わんこ - なんでこんなにリアルに書けるんですか⁉すごすぎます！続き楽しみにしてます(^▽^)/ (8月10日 16時) (レス) id: 7371aa6456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Pino | 作成日時：2025年8月2日 23時
