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『謝らないで…。私こそ、ごめん…』


Aのかすれた声。



『笑わなきゃって思ってたのに……』

『笑えなかった。怖かったの』




きっと口に出すのは、苦しいことなのに。
それでもAは俺に教えてくれる。



『なんで、あんなに叩くの?なんで、ああやって人を貶すようなことが言えるの……?』


涙で濡れたままの目が、俺を見上げる。



『本気じゃないって分かってるの。テレビでもよく見るし、分かってるのに……』

『……でも、怖かった。なんで叩かれてまで、笑わなきゃいけないのかな……?』



その声は、
まるで心の奥をそのまま差し出すみたいに震えていて。



俺は何も言えなかった。
ただAがこんなにも傷ついているのを見て、
自分のことではなく人のことで涙を流せるAに、俺の心も苦しくなった。





『私が変なだけ…。きっと、あれはそんなことを考えるような場じゃなくて、普通は笑うんだよね…』


「違うよ」


遮っちゃいけない。
Aの声を聞きたい。

そう思っていたけど。
その言葉には、すぐに反応してしまった。




「Aは、感じられる人だから。顔にすら出ていない、その人の傷ついた心が分かったってことでしょ?」

「それを“笑い”として受け取れなかった。…それって優しさだと思うな」



Aは、またポロポロと涙を流す。

でもその涙は、さっきよりもほどけた涙に見えた。


「Aが怖いところ、笑えないところからは逃げていいんだよ」

「…そのとき、俺に隣に居させてよ」




そっとAの背中に触れると、
彼女は小さく頷いてくれた。


そしてまだ少し震える手で、俺のシャツの裾を掴む。
俺にはそれが、Aの「ありがとう」だってちゃんと分かった。

今Aがこんなに苦しんでいるのは俺のせいなのに。
それでも隣にいる俺に、安心を感じてくれているのが嬉しかった。
Aの優しさが痛いほど伝わってきた。








誰かの“普通”がAの“安心”じゃないとき。
誰かが笑ってる場面で、Aが苦しくなったとき。

そんなとき、俺がその感覚に寄り添える人でいたい。



この手が、温もりとしてちゃんと届きますように。


















リクエストもいただいている中、
違うお話でごめんなさい🙇‍♀️

遂にNumber_iのツアー日程が発表されましたね✨
昨日は情報過多だったため更新お休みさせていただきました🙏

この後、時間は遅くなりますがもう一つ更新しますね!

Episode86:脱臼 You *→←・



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Pino(プロフ) - momoさん» コメントありがとうございます💕お気に入りと言っていただけて光栄です!!毎日読み返してくださっているんですか😳ありがとうございます😭 #7公開、もう少々お待ちください💦 (8月14日 17時) (レス) id: 19cca15044 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - #6おつかれさまでした!どのお話もお気に入りです♡毎日読み返してます☺️#7も楽しみにしてます! (8月14日 10時) (レス) id: b62c2f6570 (このIDを非表示/違反報告)
Pino(プロフ) - わんこさん» なんて嬉しいことを🥺ありがとうございます!!病気は、なかなか周りから理解が得られなかったり違う受け止められ方をされていたりすると、孤独で苦しいものだと思うので…。できる限りリアルで、正しい描写ができるように心がけています✍️ (8月10日 23時) (レス) id: 19cca15044 (このIDを非表示/違反報告)
わんこ - なんでこんなにリアルに書けるんですか⁉すごすぎます!続き楽しみにしてます(^▽^)/ (8月10日 16時) (レス) id: 7371aa6456 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Pino | 作成日時:2025年8月2日 23時

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