見送る背中 ページ8
じー。
じー。
じー。
無言で見つめ合う。
口火を切ったのは千冬だった。
「まぁ、どうでもいいけど」
ズキッと胸が痛んだのは気のせい。
離れた手も寂しくなんかない。
「ほ、ほら！洗い物手伝って！」
「A」
「な、なに！！」
「一虎クンはやめろよ」
「やめろって、何もないから」
何で？とは聞かなかった。
「あんなイケメンとお前が釣り合うわけねぇ！」
とか言われて終わりだろうから。ふんっ
今度こそタコ焼き機を持ってキッチンへ。
千冬が私の後を追い、お皿を持ってくる。
私が洗って、千冬が拭く。
今日は無言が気まずい。
普段は全然気にならないのに。
なんか話題…、話題……、
「あ！」
「うおっ！びっくりした！」
「同窓会行く？」
「あーそういやハガキ来てたな」
「出欠来週までじゃない？」
「マジ？」
冷蔵庫に貼っていた高校の同窓会のハガキをとって、千冬に渡した。
「ほんとだ、お前は？行く？」
「未来が行くなら行こうと思って」
「俺もタケミっちに聞いてみっかな」
洗い物を終えて、お互い親友に連絡。
未来から「行こうよ！」って返事が来て、
千冬も「タケミっち行くみてぇだから行こうかな」って。
そこで、ハッとした。
沙羅ちゃんもくるのかな…？
二年生の時、千冬と同じクラスだった……、元カノ。
「んじゃ、そろそろ帰るわ」
「あ、うん！気を付けてね」
玄関までお見送り。
靴を履いて立ち上がった千冬が、私を振り返って微笑む。
「A」
「ん？」
「同窓会一緒に行こうぜ」
「え？あ、うん！」
「俺が出たらすぐ鍵閉めろよ」って
手を振って帰って行った。
可愛さも、男らしさも持ち合わせてるって、なんなのもお！
夜風に当たりたくてベランダに出れば千冬の姿が。
小さくなっていく背中を見ていると
千冬がゆっくり振り向いて心臓が跳ねた。
千冬も目を見開き驚いてる。
なんか私ストーカーみたい！？
そんな考えも千冬の笑顔を見ればすぐに飛んでいく。
笑って大きく手を振る千冬に、負けじとブンブン手を振った。
歩き出した背中を見送っていると
ピコンと携帯が音を鳴らす。
画面を確認すれば、
“風邪ひくから家入れ！”
千冬からのラインに、顔が綻ぶ。
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えりちゃん - はじめまして！千冬の小説の中でいちばん大好きです♡︎ʾʾ (6月5日 9時) (
レス) @page50 id: 84c92b84c7 (このIDを非表示/違反報告)
いぬ？ - ずっと泣いてました。涙腺しにました。千冬くんのこともっと好きになりました。 (2022年11月5日 12時) (レス) @page50 id: dc4cbab92b (このIDを非表示/違反報告)
華ノ子(プロフ) - 泣きました〜( ;ᯅ; )matsuriさんの作品本当に好きです… (2022年7月29日 2時) (レス) @page50 id: 71c3cf5627 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃみさん(プロフ) - 本当にいつもどの作品もmatsuriさまのは素晴らしいです。もう素敵すぎて逆にしんどいです笑 三ツ谷読みたいので、次作楽しみにしております！でもたまに灰谷兄弟の更新もお願いします笑 (2022年7月7日 13時) (レス) @page50 id: e87bae8502 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 初コメ失礼します ! matsuriさんの作品、とても大好きで毎日読んでいます。今回の作品も最高で更新されるたびわくわくしながら読んでいました。この度は完結おめでとうございます！次回作もあらすじ読んだだけでもうすっごく楽しみです！暑いので体調にはお気をつけて！ (2022年7月6日 1時) (レス) @page50 id: d402d271eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：matsuri
| 作成日時：2022年5月23日 18時
