ツンデレラ【松野千冬】

知らない女性 ページ36

「宮田くんは彼女いないの？」
「いませんよ」




こんないい子、世の女性がほっとかなそうだけど。




「宮田くんて、子犬系男子って感じ」
「えー、俺ドーベルマンとか言われたいッス」
「カッコイイ系？」
「ワイルドッス！」




宮田くんはどう見ても、可愛い子犬系。
どちらかと言えば、千冬もそうかな？あは


宮田くんと話しているうちに
他は二次会の話に発展している。


私はとっとと帰って、千冬に電話するのだ！




「Aさん行きます？」
「私は帰ろうかな」




夜道歩くなって言われたし。




「んじゃ、俺送りますよ」
「え、いい！いい！」




顔の前でブンブン手を振ってお断り。


なんていうか…その…、
千冬に変な心配かけたくないし…。
男の人と二人で歩くのは、浮気ではないだろうけど…。




「危ないんで、」
「彼氏に電話するから、本当大丈夫！」
「……わかりました」




ふぅ。

人のご厚意を蹴るって、中々心が痛むなぁ…。




最寄り駅に着いて、千冬に電話をかけたが、
コール音が止む事はなかった。あれれ




「まだ仕事中かな…？」




時計を確認すれば、もうすぐ十時。寝ちゃったのかな？


“これから親睦会！”
“飲み過ぎんなよー！”


最後のラインを見返して溜息。




「心配くらいしろよバカッ！」




最近感じるこのモヤモヤはなんだろ。


今日に限っては、きっと酔っ払ってるからだ。
次々注がれるビール、グラスが空になる事がなかったせい。


ホームシックかな。
もしかしたら一緒にいるかも。と、気付けば一虎さんに電話を掛けていた。




「はいはーい」
「一虎さん？」
「あれ？外？」
「飲み会帰りなんです」
「あぁそっか、アイツも飲み会か」




……アイツって、




「危ねぇもんな！家着くまで繋いどけ」
「……千冬も飲み会…？」
「ん？って言ってたけど…？」
「誰と…、だろ？」
「タケミチとかじゃねぇの？」




モヤモヤモヤ。


まったく携帯を確認してくれないの？
夜道は危ないとか、散々言ってたのに？
離れてみたら、案外私なんていなくても大丈夫だったのかな…。


それから一虎さんと何気ない会話をして、電話を切った。


寝る直前、もう一度電話をかけてみた。




prrrrr




コール音が止んで、




「ち、ちふゆ！？」
「んー？だあれ？あれ？これ私の携帯じゃなーい」
「……ぇ」




聞こえて来たのは、知らない女性の声。




「それ俺の携帯だよッ！」




続いて、千冬の声だった。

取り繕う難しさ→←親睦会

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す