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狡い優しさ ページ3

千冬の意地悪は、不快にならない。
むしろ、構ってもらえて嬉しいなんて思ってる私はドMか…?


根っこはすごく優しい人だから、
安易に人を傷つけるような事は言わないし、しない。


昔から千冬の彼女になる人が羨ましかった。


嘸かし幸せだろうな、って。




「千冬はさ、可愛い系が好きだよね」
「タイプの異性?」
「うん」




二人並んで歩く帰り道。


千冬に彼女が出来たら
こんな日常も、当たり前ではなくなるんだ。




「ん〜…どうだろうな」
「小さくて可愛い彼女多かった」
「そうか?」
「自分が背低いから?いでっ…!」




頭をベシッと叩かれ千冬を見れば
目を細めて私を見下ろしている。




「レディに何てこと!」
「ナイーブな俺のハートを傷つけんな!」
「身長気にしてたの!」
「べ、べつに!」
「絶対気にしてんじゃん!」




あははって笑って、軽く千冬の肩を押せば、
「うっせ!」って、私の首に腕を回して軽く力を込めた。



あとどれくらい、こんな風に過ごせるかな。




「ありがとね!」
「誰も襲わなくて良かった」
「襲った事ないわ!」
「Aが暴れたら、俺止めらんねぇよ」




元暴走族がよく言うよ。
若い頃は喧嘩三昧だったくせに。



『タケミっち気を付けろ!Aはおっかねぇぞ!』
『Aちゃんは俺より強そうだ…』



懐かしい記憶。



昔から、千冬は私を女として見てなかった。
だから、今もこうして隣にいられる。



異性として、気を遣わなくていいから。




「元ヤンが何言ってんだか!じゃっ!」
「おう!またな!」




後腐れなく取り繕う事がどれだけ苦しいか、無邪気な千冬は知る由もない。



私はいつになったら千冬以外の人を好きになれるんだろ…。



エントランスで振り返れば、千冬はまだマンション前にいた。
驚く私を、しっしって手で払う。



コクコク頷いて、エレベーターへと乗り込んだ。



姿が見えなくなるまで見送るなんて狡いよ。




「千冬なんか…、バカ…ッ」




私も早く、千冬を“友達”として


大事に思えるようになりたい。

新しい出会い→←意地悪な彼



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えりちゃん - はじめまして!千冬の小説の中でいちばん大好きです♡︎ʾʾ (6月5日 9時) (レス) @page50 id: 84c92b84c7 (このIDを非表示/違反報告)
いぬ? - ずっと泣いてました。涙腺しにました。千冬くんのこともっと好きになりました。 (2022年11月5日 12時) (レス) @page50 id: dc4cbab92b (このIDを非表示/違反報告)
華ノ子(プロフ) - 泣きました〜‪( ;ᯅ; )‬matsuriさんの作品本当に好きです… (2022年7月29日 2時) (レス) @page50 id: 71c3cf5627 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃみさん(プロフ) - 本当にいつもどの作品もmatsuriさまのは素晴らしいです。もう素敵すぎて逆にしんどいです笑 三ツ谷読みたいので、次作楽しみにしております!でもたまに灰谷兄弟の更新もお願いします笑 (2022年7月7日 13時) (レス) @page50 id: e87bae8502 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 初コメ失礼します ! matsuriさんの作品、とても大好きで毎日読んでいます。今回の作品も最高で更新されるたびわくわくしながら読んでいました。この度は完結おめでとうございます!次回作もあらすじ読んだだけでもうすっごく楽しみです!暑いので体調にはお気をつけて! (2022年7月6日 1時) (レス) @page50 id: d402d271eb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:matsuri | 作成日時:2022年5月23日 18時

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